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 米UPS(United Parcel Service of America)はアジア地域12カ国の中小企業を対象に2005年末に意識調査を実施,日本企業はITと物流に対する認識が低く,また中国進出の度合いが大きく後退するなどの結果を得た。2004年の前回調査と比較して,アジア全体的に景況感は改善し,それは日本国内でも同様。ただし他国からの日本の中小企業の競争力,成長性についての見え方はほとんど変化していないことも分かった。

 調査対象の12カ国はオーストラリア,中国,香港,インド,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,フィリピン,シンガポール,台湾,タイ。各国100社ずつ(インドネシアのみは51社,インドは101社)を対象に,現地語で聞き取り調査した。業種は自動車関連,電気電子機器,衣料・繊維,ギフト・家庭用品,ヘルスケア・医薬品,時計・宝石・メガネ,玩具・スポーツ用品など。食品はない。

 成長性についての質問では,日本の中小企業が今後1年間に成長するとの回答は12カ国全体では44%で,2004年調査と同じ値になった。中国88%,インド69%,韓国60%などと比較して高くはない。ただし日本企業の回答者に限れば,日本の成長性について肯定的なのは2004年の30%に対して43%へと増加した。日本国内では,日本銀行の短期経済観測調査でDI指数が中小企業についてもプラスの値を継続するなど景況感に改善が見られるが,海外から見るとあまり変わらないように見えることが分かる。

 他国企業の競争力について聞いた質問では,「中国企業が自国よりも競争力がある」としたのが70%,「日本企業が自国よりも競争力がある」としたのが58%。韓国の回答者のみは,中国企業(64%)よりも日本企業(71%)の競争力を高く評価した。

 中国への国内企業の進出は,2004年に比べて大きく減った。日本以外の国の企業は中国進出を拡大しているが,日本のみは逆の結果になった。また,中国を自国にとって追い風と見るか脅威と見るかを聞いた質問に対しては,おおむね追い風とみる国が多い中,日本のみが脅威と感じる回答者を増やしている。2005年に中国で発生した反日デモが影響しているかもしれない,とUPSは見ている。

 各国について自国企業の競争力の阻害要因を聞いたところ,中国では「優れた人材の確保」「企業改革」が重要でかつ不足しており「法的枠組」も不足,との結果だった。日本は「優れた人材の確保」重要でかつ不足しているが,「企業改革」は重要であるものの不足感がやや緩く,また「IT技術の導入」「サプライチェーン(物流)の効率性」には重要度も不足感も低い。不足なのに不足と感じていないのか,実際に不足していないのかは調査からでは読み取りきれないが,UPSは「物流の効率性に対する意識が現状で低いことは,今後は効率的な物流の枠組みを提案する上ではビジネスチャンスでもある」としている。