PR
【図1】除菌エレメントの構造。
【図1】除菌エレメントの構造。
[画像のクリックで拡大表示]
【図2】除菌電解ミスとの構造。
【図2】除菌電解ミスとの構造。
[画像のクリックで拡大表示]

 三洋電機と鳥取大学農学部教授の大槻公一氏らの研究グループは共同で,三洋電機の電解水技術が鳥インフルエンザウイルス(H5型)の数を減少させる効果があることを確認した。三洋電機製の空気清浄機などに組み込まれているユニットと同等の装置を使って実験した結果,ウイルスの数が99%減少した。実際の製品でどのような効果があるのかは「今後,検証していく必要がある」(三洋電機)としているが,交通機関など公共施設への適用が考えられそうだ。

 三洋電機の電解水技術では,水道水を電気分解することで生成される希薄な電解水を活用する。水道水から容易に生成でき,遊離残留塩素濃度が10mg/Lと一般塩素系消毒液(遊離残留塩素濃度500~1000mg/L)に比べて低いのが特徴だ。実験では,主に業務用空気清浄機などに組み込まれている「除菌エレメント」,主に家庭用空気清浄機などに組み込まれている「除菌電解ミスト」という2種類のユニットを使用した。

 除菌エレメントは,電解水を滴下・浸透させたハニカム構造の気液接触フィルタを空気が通過する方式(図1)。大空間を高速に除菌するのに適している。一方の除菌電解ミストは,電解水を超音波振動子によって霧状にし,拡散効果の高いサイズの小さな微粒子を空気中に放出させる方式だ(図2)。

 除菌エレメントを使った実験では,鳥インフルエンザウイルスを実験チャンバ内に噴霧し,空気に浮遊ウイルスを含ませる。その空気を1回だけ除菌エレメントを通過させる。除菌電解ミストを使った実験では,鳥インフルエンザウイルスを綿棒に付着させる。この綿棒を電解ミスト吹出口の上方に固定し,電解ミストを連続的に噴霧する。

 いずれの実験でも電解水と接触する前後で,鳥インフルエンザウイルスの数(ウイルス力価の残存率)が99%以上減少することが確認できた。細胞の受容体(レセプター)と結合するウイルス表面のスパイク(HA:ヘマグルチニン)を,電解水が破壊することで感染力が抑制されるのではないかと見られている。ちなみに,ウイルス力価の測定では,発育鶏卵を使って赤血球の凝縮の有無を確認した。

 さらに,励起光による緑色の発光でウイルスによる感染を示す蛍光抗体法による細胞のウイルス感染判定も行った。その結果,電解水技術を適用した場合はウイルスに感染していないため発光は見られず,電解水技術による鳥インフルエンザウイルスの抑制効果が確認できた。