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経営方針を説明する下村社長
経営方針を説明する下村社長
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 三菱電機は経営戦略の説明会を開催し,苦戦している北米AV機器事業の再構築の一環として,設計を大幅に見直してコストを削減した背面投射型(リアプロ)テレビを近く投入することなどを明らかにした。

 説明会ではまず,2005年度の決算説明会でも説明した業績見通しなどを(決算の記事),2006年4月1日に執行役社長に就任したばかりの下村節宏氏があらためて説明した(同氏就任発表時の会見の記事)。力を入れて説明していたのは,決算説明のときに語った2007年3月期(2006年度)の見通し,すなわち売上高を3%増の3兆7000億円,営業利益を11%増の1750億円とし,売上高営業利益率を4.7%に高めることをどのように実現するのかということである。

 基本的には,従来路線を堅持して着実に進めることで,5期連続の増収増益を目指すという。その方策の1つが,以前から取り組んでいる構造改革だ。

 同社のいう構造改革は,主に三つの部分に分かれる。第1に,強い事業についてはさらなる増産体制を築くこと。エレベータの事業において,中国で現在は年産2万基体制なのを3万基に増強することを決め,可変速エレベータなどに力を入れるほか,FA機器事業関連で現在,さいたま市で稼動している「メカトロソリューションセンター」(同センター開設のニュース・リリース)を関西,中部にも展開することなどを計画に盛り込んでいる。

 構造改革の第2は,他社との協業体制を築くこと。レーザ加工機において2005年4月に提携したアマダとの協業などを例に挙げ,順調に進んでいるとした。

 そして第3が,事業上の問題点を除くこと。これについては「ほぼ改革を終えて問題点を一掃した」(下村氏)。ただ残っているのは,北米のAV機器事業の再構築である。焦点は,一時は20%を超えるシェアを獲得した大型のリアプロ・テレビである。価格下落の影響などで苦しい状況に陥っているが,大幅な設計変更を施して原価低減を進めた,1080p対応の製品を開発,既に量産に向けて動いているという。「価格下落のペースにもよるが,2006年の年末商戦に向けて手は打った」(同社 専務執行役 取締役の佐藤行弘氏)。

素材高騰に悩む

 今期の外部環境として,下村社長が最も気にかけているのは,素材高騰と為替の動向だという。原油や鉄鋼に加え,最近になって銅が急騰していることの影響が大きい。素材高騰によるコスト上昇分は,2005年度の決算説明会の時点で前期比150億円と見積もっていたが「このところの銅の高騰分を考えると,今やプラスアルファでコストアップを考えなければならない」(佐藤氏)とし,危機感をあらわにした。

 なお同社は,今期の業績予測をするにあたって円対米ドルの為替レートとして110円を想定している。「前後3円くらいのぶれは考慮済み」(下村氏)。しかし同社の場合,円が米ドルに対して1円高くなると30億円の減収要因,ユーロが1円上がると同15億円の減収要因になる。「想定よりも5円くらい円高になると,厳しくなってくる」とした。

構造改革の推進を説明した資料
構造改革の推進を説明した資料
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中段に楕円で囲んであるのが同社がこれからの成長を期待している製品群である
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2006年度の設備投資額は1200億円を見込む。「この数字は現時点での値で,各事業の状況によって機動的に考えたい」(下村氏)。借入金比率は順調に減少し20%を切るのは目前のところまできた。同比率はさらに減らし,今後の金利上昇などに耐えられる財務体質をつくるとした
2006年度の設備投資額は1200億円を見込む。「この数字は現時点での値で,各事業の状況によって機動的に考えたい」(下村氏)。借入金比率は順調に減少し20%を切るのは目前のところまできた。同比率はさらに減らし,今後の金利上昇などに耐えられる財務体質をつくるとした
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