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図1 パナソニック コミュニケーションズのHD-PLCモジュール群。右端が今回開発した小型版。
図1 パナソニック コミュニケーションズのHD-PLCモジュール群。右端が今回開発した小型版。
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図2 NECの企業向けPLCモデム
図2 NECの企業向けPLCモデム
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図3 NECの家庭向けPLC機能内蔵STB
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図4 富士通アクセスのPLC機能内蔵「サービスゲートウエイ」
図4 富士通アクセスのPLC機能内蔵「サービスゲートウエイ」
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 パナソニック コミュニケーションズと松下電器産業,NEC,富士通アクセスはそれぞれ,短波帯(2M~30MHz)の搬送波を用いる高速電力線搬送データ通信(PLC:powerline communication)用モジュールやモデムを試作し,千葉の幕張メッセで開催中の展示会「Interop Tokyo 2006」(2006年6月7日~9日)で動作デモンストレーションを公開した。いずれも,日本で2006年秋ころに高速PLCが利用可能になるのを見込んでの出展で,「利用可能になり次第,製品化したい」(NEC)と高速PLCの実用化に意欲的な姿勢である。

 パナソニック コミュニケーションズは,電源回路を持たないPLCとEthernetのMAC層回路だけの小型モジュールを開発し,参考出展した(図1)。高速PLCの方式は,Wavelet OFDMを変調方式に用いた「HD-PLC」である。大きさは,同社が2005年に開発したPLCとEthernetのブリッジ・モジュールに比べて1/2以下のおよそ5cm角と小さい。ただし,PLC用のLSIには2005年のモジュールと同じ松下電器産業製のものを用いている。「今回のモジュールは各種家電への組み込み用。電源回路は自前で作れるというメーカー向け」(パナソニック コミュニケーションズ)という。2006年6月に評価用にサンプル出荷する。

NECは,企業向けおよび家庭向けのPLCモデムを,一般向けの展示会としては初めて参考出展した。開発は同社の子会社である東洋ネットワークシステムズで,チップセットにはスペインDS2(design of system silicon)社のものを用いているという。単純なモデムのほかに,VoIP(voice over IP)アダプタと一体化した機器やSTB(set-top box)にPLC機能を内蔵した機器の試作品も展示している。

 一方,富士通アクセスが参考出展したのは,通信事業者がユーザー宅に設置する「サービス ゲートウエイ(SGW)」にPLC機能を内蔵したものの試作品。無線LAN機能やUSB,IrDA,VoIPなどの各種通信インタフェースや通信プロトコルに対応する。ただし,PLCの仕様や方式については明らかにしなかった。

出力規制値の変更には「がっかり」

 高速PLCモデムは米国や欧州(ドイツなど)で利用可能になっているが,日本ではまだ利用が認められていない。総務省の「高速電力線搬送通信に関する研究会」は2005年12月に「コモンモード電流の準ピーク値が30dBμA以下」という許容値案をとりまとめたことから,この研究会案がそのまま最終的な基準になるものという理解が総務省やPLC機器ベンダーの関係者にあった。

 ところが,2006年2月~6月に開催された情報通信審議会 情報通信技術分科会 CISPR委員会 高速電力線搬送通信設備小委員会で,この研究会案に異論が出され,6月5日の同委員会で「15M~30MHzではコモンモード電流の許容値を10dB下げて20dBμA以下とする」ことがCISPR委員会の報告案として採用された。

 突然の許容値の変更に,展示会に出展したベンダー各社は一様に「がっかりした」と困惑を隠さない。伝送速度も「元の許容値案の50%程度になる計算」(パナソニック コミュニケーションズ)。同社は当初の許容値案で,最大70Mビット/秒程度の実効伝送速度を見込んでいたことから,新しい許容値案では伝送速度は最大で35Mビット/秒となってしまう。現実には電力線に流れている雑音などで伝送速度はさらに下がる可能性があり,「HDTV信号を何本も流すような使い方は厳しいかもしれない」(別の関係者)という声も出てきた。