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当該機器の安全装置(中央左上の黄銅色のケース)。こちら側にケーブルの接続端子が見える。右下の円形の部品がガスの供給を制御するマグネット安全弁
当該機器の安全装置(中央左上の黄銅色のケース)。こちら側にケーブルの接続端子が見える。右下の円形の部品がガスの供給を制御するマグネット安全弁
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不正改造のパターン。端子を付け替えたり,短絡線を追加するなどいずれも簡単な改造で,安全装置を無効化できた
不正改造のパターン。端子を付け替えたり,短絡線を追加するなどいずれも簡単な改造で,安全装置を無効化できた
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排気溢れ防止装置(写真中央の四角い部品)。温度センサーで排気温の異常上昇を検知する
排気溢れ防止装置(写真中央の四角い部品)。温度センサーで排気温の異常上昇を検知する
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 パロマ工業は2006年7月18日,名古屋市内の本社ビルで記者会見を開き,7月14日に経済産業省から事故報告命令を受けた屋内設置型の「半密閉式瞬間湯沸かし器」7機種による一酸化炭素(CO)中毒事故について,事故の発生メカニズムを説明した。

 パロマ工業によると,事故の原因は大きく,次の二つに分かれる。
 (1)安全装置を不正改造
 (2)安全装置の経年劣化故障
半密閉式瞬間湯沸かし器は屋内から吸気し,燃焼後の排気を屋外に排出する。問題を起こした湯沸かし器はファンで強制排気するタイプで,いずれのケースでも,直接的な原因は排気ファンの停止により,湯沸かし器の燃焼で生じたCOが屋外に排気されず,屋内に滞留することで,事故にいたる。

 該当の湯沸かし器は,安全装置に排気ファンの電源,水流センサー,排気温度センサー(排気溢れ防止装置),バーナー・コントローラーを接続しており,何らかの異常を検知するとマグネット安全弁を作動させてガスの供給を止め,火を消したり,そもそも点火しない仕組みになっている。

 ところが,安全装置にマグネット安全弁などへの配線を接続する端子はネジ止め式であった。そのため配線を組み替えたり,短絡線を追加することで比較的容易に安全装置を無効化して,湯沸かし器を点火できるようにできた。事故原因のうち,(1)の不正改造とはこうした改造を指す。

 パロマ工業によると,こうした改造手法は5種類,確認できている。同社が改造が施された製品を入手して,配線を正常に戻してみたところ「いずれも安全装置が故障しており,点火しなかった」(取締役品質管理部長兼サービス部の鎌塚 渉氏)。このことから,不正改造は安全装置の故障時に部品交換をせずに,湯沸かし器を動作可能にするために行われたと見られる。

 ただし,不正改造を施しただけではCO中毒事故は起こらない。電源が正常に供給されていれば,安全装置を無効化していても排気ファンは作動するからだ。CO中毒事故に至ったケースでは,電源ケーブルが外れるといった理由で排気ファンが作動しない状況になっており,安全装置の無効化で異常を察知できなかった。こうして重大事故につながった。

 もう一つの事故原因(2)は,プリント基板やはんだの経年変化により,排気ファンが作動しないのに点火できてしまうという故障を,安全装置が起こしたケースである。こうした場合,点火後,排気溢れ防止装置が排気温度の異常上昇を検知するまでの間,しばらく湯沸かし器が稼働してしまう。ファンは作動しないので,燃焼で発生したCOが屋内に逆流するが,短時間なので大きな問題ではないと当時のパロマ工業は考えていたようだ。

 しかし,バーナーの詰まりなど機器自体の経年劣化や吸気口がふさがれているといった設置場所の問題で,不完全燃焼が起こりやすい状況と,この故障が重なっていると,「当初,想定していたより高い濃度のCOが発生してしまった可能性がある」(取締役技術管理本部長の青木 豊氏)。排気溢れ防止装置が稼働するまでに,逆流したCOにより事故が起こっているからだ。今回,パロマ工業が公表した事故のうち,4件は,このような経緯で起こったと考えられている。