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図1 ケーブルテレビ網を利用した緊急地震速報データ配信システムの仕組み。地震の震度や到達時刻を予測する演算系装置(図のセンター装置)は,1台で10地点まで予測可能。到達時刻に1秒程度の誤差を許容する場合,同じ予測で半径3〜5kmの範囲をカバーできることになる。結果を配信する端末数に制限はない。
図1 ケーブルテレビ網を利用した緊急地震速報データ配信システムの仕組み。地震の震度や到達時刻を予測する演算系装置(図のセンター装置)は,1台で10地点まで予測可能。到達時刻に1秒程度の誤差を許容する場合,同じ予測で半径3〜5kmの範囲をカバーできることになる。結果を配信する端末数に制限はない。
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図2 家庭などに設置する端末装置の親機(奥)と子機(手前)。親機には,分波器によって分岐したアンテナ線と電源を接続する。
図2 家庭などに設置する端末装置の親機(奥)と子機(手前)。親機には,分波器によって分岐したアンテナ線と電源を接続する。
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 電子情報技術産業協会(JEITA)は,ケーブルテレビ網を使って緊急地震速報データを一般家庭に配信するシステムを試作した(ニュース・リリースのPDFファイル)。気象庁が発信する震源地の緯度・経度,深さや地震の規模を示すマグニチュードなどの緊急地震速報の電文データから,該当地区での予測震度と猶予時間(到達時刻)を各家庭に配信,音声によって告知する。今回の試作システムの特徴は,「各家庭に設置する端末の価格が1万5000円以下と安価」と説明する。JEITAが従来の実証実験に使っていた装置は,端末側で予測震度などを計算していたため,価格が8万円と高かった。今回,こうした計算を実行する装置をケーブルテレビ局の施設に設置する構成として,端末の低コスト化を図った。

 JEITAは,文部科学省が実施する「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」の一環として,緊急地震速報と情報家電を結びつけた「家庭内自動防災システム」の研究開発を進めている。地震が到達する前に震度などの情報を伝える緊急地震速報については,約500の家庭や学校,会社のオフィスなどの協力を得て,2004年4月から実証試験を行っている。今回のシステムでは,従来よりも端末価格を下げられるほかに,IP方式からケーブルテレビ網を利用した放送型に変更したことで告知の遅延を避けられるとしている。IP方式では数十ms~数百msといった遅延が生じる可能性があるが,放送型では遅延はほぼない。2006年9月からケーブルテレビ会社10社による500~1000台規模の実証実験を開始,順次協力ケーブルテレビ会社を増やし,12月以降は5万~10万台規模での全国的な実証実験を計画している。

 今回のシステムにより,ケーブルテレビを地域の緊急防災告知システムの基軸に据えることも可能と主張する。理由の1つとして,利用可能な世帯が多い点を挙げる。現在,ケーブルテレビに加入しているのは1915万世帯である。しかし,電波障害などの理由からケーブルテレビの自主放送の受信契約を結んでいないもののケーブルテレビ局からの放送を受信できる状態にある世帯も含めれば,端末を設置して今回のサービスを利用できる世帯は約2700万世帯で,日本の世帯の約半数が既に導入可能な状態にある。また,仕組みが緊急防災告知システムに向いている点も,もう1つの理由に加えている。今回の方式では,配信先の端末にアドレスを割り振っており,ある特定の町だけに警報を発信するといった使い方が可能。もちろん,大雨や津波など,他の自然災害に向けた警報も配信できる。