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 米Dell Corp.が発表したノート・パソコン向けLiイオン2次電池の自主回収の対象は,全世界で410万個に及ぶ(Tech-On!関連記事)。そのすべてが,ソニーエナジー・デバイスが供給したLiイオン2次電池だった。まれにセル内部に短絡が起き,過熱・発火に至るという。現在までにDell社は,日本での2件を含む6件の発火事故を確認している。

セルに金属片が混入

 問題になったセルを生産したのは,ソニーエナジー・デバイスの福島工場である。短絡が起きた原因は,同工場の2次電池セル製造工程で「まれに微小な金属片がセルの特定部位に混入した」(ソニー 広報センター)ためという。この金属片が電池セルの陽極と陰極を短絡させ,過熱・発火に至ったとみられる。

 製造工程で短絡が発生したのであれば,通常なら出荷前検査で発見できる。実際ソニーは,製造したセルに熱を加えるなどのエージング処理を施した上で,短絡の有無を検査している。今回不具合を起こしたセルがなぜ出荷前検査をすり抜けたのか,詳細は不明である。

 ソニーは対策として,特定部位に金属片が混入しないよう製造工程を改良したとする。

他社ノート・パソコンへの波及はあるか

 ソニーによれば,今回の不具合はセル単体が起こすものではなく,「Dell社が採用するノート・パソコンの充放電システムと組み合わたときに起きることがある」(ソニー 広報センター)としている。実際,Liイオン2次電池モジュールは1機種ごとに仕様を決めるカスタム品であり,安全性を左右する充放電制御回路などの仕様もノート・パソコン・メーカーによって異なる。ソニーは,自社が販売する「VAIO」ブランドのノート・パソコンについては「充放電システムの違いから,過熱・発火などの不具合が起きないことを確認した」(ソニー 広報センター)としている。Dell社の充放電システムと今回の不具合との因果関係については,Dell社とソニーいずれも詳細を明らかにしていない。

 ただし,不具合の根本的な原因が電池セルにある以上,他社製のノート・パソコンであっても,採用する充放電システムによっては不具合が起きる可能性は否定できない。ソニーは,Dell社以外に供給したLiイオン2次電池が不具合を起こす可能性について,「部品メーカーとして,顧客の製品についてコメントできない」(ソニー 広報センター)として明言を避けている。ロイター通信によると,米消費者製品安全委員会(CPSC)は,該当するソニー製Liイオン2次電池を搭載するノート・パソコンを対象に,安全性に問題がないか調査を開始する方針を明らかにした。

*日経エレクトロニクスは,今回のLiイオン2次電池の不具合について,今後も継続して取材します。考え得る不具合の原因,取材で明らかにすべき事象など,ご意見があれば下記コメント欄までお願いします。