富士通は、新世代ノートパソコンのコンセプト機を、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で展示している。2モデルあり、いずれも音楽機能を重視した作りになっている。ユーザーの需要や価格などを考慮して製品化につなげる意向だ。
「Turn Table PC」は、白と黒のツートンカラーのAVノートパソコン。内側には一般のキーボードに代わりタッチパネルを配置しており、平坦ですっきりした印象だ。キーボードと同じ配列になるよう白色LEDを埋め込んでおり、個々のキー位置に触れると文字を入力できる。側面には5.1チャンネルのサラウンド出力が可能なスピーカーを配置する。きょう体上部にはディスクジョッキーが使うアナログ盤のターンテーブルになぞらえた環状の模様を配している。大型の液晶パネルを採用しており、同社のAVノートパソコン「FMV-BIBLO NX」がベースになっているとみられる。
「Ultra Mobile」は、縦横の寸法をCDジャケットと同じにしたタブレットPC。上きょう体と下きょう体に分かれており、上きょう体をひねると45度回転し、カメラモジュールや操作ボタンが現れる機構としている。キーボードやマウスパッドは付いておらず、操作や入力は、スタイラスペンで画面に触れるか外付けのキーボードを接続することで行う。きょう体はワインレッドを主体とした配色であり、高級感を演出する意向がうかがえる。同社は「FMV-BIBLO LOOX P」などのタブレットPCを市販しており、こうした製品をベースにして構想を練ってきたようだ。
同社は2006年の秋冬モデルで、15.4型の低価格ノート「FMV-BIBLO NF」を主力製品として新規投入するなど、いわゆるスタンダードノートの占める比率が高い。「当社の現行のノートパソコンは万人受けするものばかりだったこともあり、コンセプトを強く打ち出した個性的な製品があっても良いのではと考えた。iPodの登場以来、パソコンの世界でも音楽関連に向けた用途が増えており、軽視できない状況となってきている。音楽機能を重視したパソコンが必要であるとの考えが、今回発表したコンセプト機の背景にある」(富士通の説明員)。
いずれの製品も、現在のノートパソコンからは想像もつかない仕上がりとなっているが、「要素技術は既にそろっており、製品化しようと思えばすぐにでも可能な状態」(富士通の説明員)という。とはいえ、製造コストと販売価格の問題がある。例えば多数の白色LEDなどを量産出荷機に採用するのは今のところ困難という。「製造コストを度外視できるならともかく、ユーザーに買ってもらえない価格帯で製品化しても意味がない。そのため、どの程度の価格ならユーザーに受け入れてもらえるかを考えつつ、今後仕様を詰めていく必要がある」(富士通の説明員)としている。
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