「WiMAXにとって2006年はグレート・イヤーだ。ネットワークの整備が進み,各国でサービスが続々と立ち上がりつつある」--。米Intel Corp.は,WiMAX関連のイベント「WiMAX World Conference & Exposition 2006」の基調講演に2006年10月11日(現地時間)に登壇した。壇上でIntel社は,WiMAXの固定向けと移動体向けの両規格に対応する新チップや,移動体向け規格「モバイルWiMAX」のトライアルを米国で開始したことを明らかにした。イベントの協賛として名を連ねて講演の機会を得た同社は,来場したWiMAX関連の機器開発者に同市場の魅力を訴求するとともに,チップ事業で覇権を握ることへの意欲をみなぎらせた。
登壇したIntel社のSean Maloney氏は冒頭,2006年に入ってWiMAX関連の検討が急伸している事実を説明した。商用サービスやトライアルといったWiMAX関連の活動件数は,2006年10月に世界市場で250件に達したという。2006年1月に150件だった同件数が一気に250件への急伸したことを,Maloney氏は「2006年はWiMAXのグレート・イヤー」と表現した。
Maloney氏はこれからの期待として,移動体で利用するWiMAX技術を挙げる。現在は固定向け規格に関連する活動が多いが,今後は移動体向けのモバイルWiMAXが「モバイル・ブロードバンド」に大きく貢献すると力説した。昨今,インターネットでは「YouTube」や「MySpace」といった動画配信サービスやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が爆発的にユーザーを増やしている。「遠からずこれらのサービスをモバイル環境で利用する時代が到来する」(Maloney氏)。それを支える技術こそ,モバイルWiMAXになると語った。
発表したWiMAX向けのチップは,WiMAXの固定向け規格「IEEE802.16-2004」と移動体向け規格「IEEE802.16e-2005」のデュアル・モード機能を備えたベースバンド処理LSI「WiMAX Connection 2250」である。講演では同チップを搭載した宅内装置(CPE)を使って実演してみせた。YouTubeやgoogle Videoなどの動画配信サービスを使って,映画の予告編のストリーミング映像をテレビに再生した。
米国オレゴン州で開始したばかりの,モバイルWiMAXのトライアルの紹介にも力を入れた。基地局を設置した現場とIP回線を接続し,現地で実際にトライアルを開始した様子をライブ映像で披露した。