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インド:NCAPの導入に向け安全基準・法規制の整備と試験インフラを構築


図◎インド国立自動車試験・研究開発基盤プロジェクトのPamela Tikku氏
 インド自動車業界は急速に伸びており、年間約18%成長している。日・米・欧・インドの自動車メーカーの拠点がインドの北部・南部・西部の3地域に点在しており、2輪車の生産で世界2位、トラクター生産では1位、商用車生産で5位であり、アジアで4番目の乗用車市場である。

 インドの道路上には、乗用車やバス・トラックなどの商用車、トラクター、2輪車、インド特有の輸送手段である3輪車など様々な車両が混合走行している。現在政府では、こうした車両の環境・安全に関する基準・規制を整えている段階で、安全規制は欧州のものをベースとし、インドの状況に合わせて改良している。2007年にはチャイルドシートのような子供の保護システムについての基準を設定する予定で、まだ試験施設が整備されていないため、前面衝突や追突、乗員保護などの安全基準は2008年以降になる。

 今後、政府としては米国のNHTSAや日本のNASVAのような機関を設立し、試験インフラの構築や技術開発・試験を実施したいと考えている。すでに国家道路安全委員会(National Road Safety Board)を設立することを決定しており、事故データの分析や車両テストを手掛けることになる。さらに、試験設備を作り、メーカーの車両開発を助けるため、インド国立自動車試験・研究開発基盤プロジェクト(NATRIP)というプロジェクトを立ち上げ、自動車業界の最新の試験・研究開発インフラの構築を目指す。

 NATRIPの総投資規模は5億ドルを見込んでおり、インフラは2~3年をかけて段階的に構築する。今後、北部のDelhi、南部のCennai、西部のPuneに車両認定・試験・研究開発設備を建設する計画で、さらにインド中央部には4123エーカーの土地に14kmのサーキットを建設し、様々な路面状況において多数の車種を試験でき、車両開発の一助とする。こうした試験設備・機関を整えることは、車両開発の進展から生産量の増加、それによる雇用の拡大、輸出の拡大などで経済を向上させるものと考えられる。

 試験センターは、現在NATRIPのもとにあるが、運営の枠組みは決まっていない。2009~2010年ぐらいには、第1段階として稼働させ、2011年には高度研究開発センターを作る計画だ。安全に関する基準・規則の策定と、対応する高度な試験インフラを構築していく中で、消費者の安全意識の向上も図っていく。