船井電機は,2007年3月期中間期(2006年4月~9月)の決算を発表した。売上高は連結で前年同期比3.8%減の1631億5100万円,営業利益は同32.1%減の103億6600万円,経常利益は同30.4%減の123億100万円,純利益は同39.5%減の69億9000万円となった。欧州における液晶テレビの価格下落などが響き,減収減益になったとしている。
液晶テレビ,DVDレコーダーが主力級の品目に成長
分野別の売上高は以下の通り。映像機器は前年同期比1.5%増の1005億9200万円。市場自体が縮小しているVTR関連製品,ブラウン管テレビと,DVDプレーヤー関連製品は減少したが,液晶テレビが前年同期比389.4%増,DVDレコーダーが同185.1%増と大幅に伸びた。構成比率もがらりと変わり,液晶テレビ,DVDレコーダーが今後の主力に育ちつつある。PDPテレビは,伸び率こそ前年同期比355.6%増と高いものの構成比率ではわずかに過ぎない。説明に立った同社 取締役/執行役副社長の中島 義雄氏は「価格下落が激しいPDPテレビは,戦略の見直しが必要」と語った。情報機器は,前年同期比13.8%減の490億5400万円。プリンター,デジタル・カメラの競争激化のためとしている。その他は前年同期比0.2%減の135億500万円。これには主に受信関連用電子機器が含まれる。
液晶テレビ,価格下落と過剰在庫で欧州は増収減益
液晶テレビは,欧州で減益となった。欧州では,2007年夏の操業開始を目指し,ポーランドに工場を建設中(関連記事)だが,今期は従来どおり中国工場からの供給でまかなった。リード・タイムがかかるため,欧州市場で起こった供給過剰による価格下落に対応できなかったという。さらに,サッカーのワールド・カップ特需を期待し過ぎるなどの見込み違いで在庫を抱え,評価損がかさんだ。これを販売価格の調整によりさばいたため,「売っただけ損」(中島氏)をして増収ながら減益となった。こうした状況を招いたことは,市況だけによるところではなく,まだ販売網やブランドを確立できていない欧州にあって,「営業管理上のミスがあった」(中島氏)という。しかし,販売チャネルは獲得できてきており,今後は欧州における販売の責任者を変えるなどして巻き返しを図る。
主戦場である北米市場では,原油価格の高騰などにより個人消費の冷え込みも懸念されているが,デジタル家電の需要は旺盛だという。今期は減収となったが,クリスマス商戦向けの受注が前倒しで入ってきており,通期の増収は手堅いとしている。
今年度通期は世界でシェア5%ほどの200万台の販売を予測していたが,北米での上振れにより220万台ほどを販売できる見込みとしている。来年度は,ポーランド工場を月産20万台で稼働させるほか,現状のボリューム・ゾーンである中小型(15~20型)に加え,現行のラインで32型を増産し,構成比率で10%を15%程度に引き上げる構えだ。32型でも,パネルは主に台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.(CMO:奇美電子)グループから調達する。地域別構成比率では,今年度10%前後の日欧をそれぞれ20%前後に引き上げ,ロシア向けもわずかながら計画している。来年度通期でシェア8%ほどとなる500万台の販売を目指す。
来年度下期,Blu-rayに参入
DVD関連製品では2006年,OEMも含めると,プレーヤーで北米シェア60%,世界シェア15%,レコーダーで北米シェア50%,世界シェア15%を達成できる見込みだという。欧州でも,組み立てを現地で行うことを前向きに検討するなど,拡販を狙う。次世代光ディスクについては,京都大学とシステム構築に関する共同契約を結んでおり,2008年3月期下期にはBlu-ray Discで参入を予定する。
米国は好調も,欧州の液晶テレビ値崩れ響く
今年度通期については,全体で売上高が前年比10.8%増の4000億円,営業利益が同11.6%増の260億円,経常利益が同6.3%増の292億円,純利益が同6.9%減の201億円と予想している。米国のクリスマス商戦向けが好調なことなどから,売上高は前回予測と変わらないが,欧州において液晶テレビ価格が急速に下落していることなどにより,利益は軒並み下方修正した。ポーランド工場への投資額は,来年度に計上する。前期40億円,後期30億円の計70億円となる予定。
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