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 三井物産と松下電工は共同で,廃棄プラスチックをリサイクルするネットワークを構築する。主に,松下電工の製品を扱う建築現場などで発生する梱包材を回収。それを有価物としてリサイクルすることで廃棄物を減らすとともに,処理費用の低減を図る。三井物産は今後,自動車部品などでも同様の事業を立ち上げる計画だ。

 松下電工は,2006年に環境省から「産業廃棄物処理業務」の広域認定制度に基づく広域認定を受けている。一般に,企業が産廃を処理する際は62の都道府県や政令指定都市すべての認可を得る必要があるが,広域認定を取得した企業はこれが免除される。一方の三井物産は,廃棄ビールコンテナをプラスチック製パレットに再生する事業を約20年前に始め,「三井物産リサイクルネットワーク」を組織している。1997年には,西日本ペットボトルリサイクル(本社北九州市)に出資し,ペットボトルのリサイクル事業に進出した。

 今回のリサイクル事業では,松下電工の広域認定を利用してネットワークを組織し,廃プラの回収から再商品化までを行う。具体的には,まず24社の運送業者が廃プラを回収。工場や物流センターで分別した後,回収拠点で容量を減らす。その後,三井物産のリサイクルネットワークに参画する協栄産業(本社栃木県小山市)などがプラスチックを再資源化。そこで得られた原料を大日本インキ化学工業に販売し,プラスチック製パレットや産業資材として製品化する。

 松下電工では,これまでもPP(ポリピロピレン)製の梱包用バンドやポリエチレン(PE)製の包装用フィルムといった梱包材を回収し,リサイクルしてきた。しかし,工場や物流センターが個別に選んだ業者が処理を担当するため,地域や事業所ごとにリサイクルのレベルが異なるのが問題だった。今回の事業によってこうした格差がなくなり,すべての事業所が適正な価格でリサイクルできるようになるという。一方,三井物産としては,扱う廃プラスチックの量が増えるため,従来よりも安く再資源化できる。