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左の写真は「出来がいい市販の300万画素カメラ付き携帯電話機で撮影した写真」(HP社)。右の写真はHP社の技術を組み込んだ300万画素カメラ付き携帯電話機で撮ったものという。
左の写真は「出来がいい市販の300万画素カメラ付き携帯電話機で撮影した写真」(HP社)。右の写真はHP社の技術を組み込んだ300万画素カメラ付き携帯電話機で撮ったものという。
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 米Hewlett-Packard Co.は,同社の画像処理関連の知的財産をシンガポールFlextronics International Ltd.傘下のFlextronics Components Groupにライセンスした(発表資料)。HP社のデジタル・スチル・カメラ用に開発した技術で,今回の契約はFlextronics社が製造する携帯電話機向けの300万画素以上のカメラ・モジュールのみを対象にする。「我々が手掛けていない製品向けに知的財産をライセンスするのは,当社の知的財産戦略の一部である」(HP社)。

 契約期間は5年間。その間Flextronics社は,HP社に知的財産の使用料を支払う。金額は未公表。HP社の技術を組み込んだカメラ付き携帯電話機は,2007年中に登場するという。HP社は当面Flextronics社との関係に注力するが,他社に同様な技術をライセンスすることはあり得るという。

 HP社がライセンスした技術は,製造中のレンズや撮像素子の較正,画像のキャプチャ,キャプチャ後の画像処理のアルゴリズムを含む。ライセンスしたアルゴリズムには,色合いの修正やホワイトバランス,暗い場所での撮影を助ける雑音フィルタ,HP社が「adaptive lighting」と呼ぶコントラストの調整技術に関するものがある。これらのアルゴリズムを動作させるには,少なくともARM9コアが必要という。

写真は「使い捨て」から「保存版」に


 同社は,携帯電話機がこれらの技術を搭載すると,ユーザーが撮影するデジタル写真の質がはるかに向上すると主張する。「現在は,携帯電話機で撮ったデジタル写真のうちユーザーが印刷するものは,わずか1%程度しかない。写真の質が上がると携帯電話機で撮った写真は,ユーザーにとって『使い捨て』から『保存版』に変わる」(HP社)。写真の質の向上により,携帯電話機で撮った写真をHP社製のプリンターで印刷する機会が増えると同社は期待している。加えて,連続で撮影したデジタル写真をパノラマ写真に合成するといった写真関連サービスに使う技術を,携帯電話事業者に売り込むキッカケになるという。