富士キメラ総研は,AV機器用,OA機器用,医療機器用光学部品・材料の世界市場調査の結果を発表した。調査品目は,光ピックアップ用や携帯電話機向けカメラ用,デジタルスチルカメラ(DSC)/ビデオカメラ(DVC)用などを含むAV機器用光学デバイス30品目,OA機器用光学デバイス9品目,医療機器用光学デバイス5品目,レーザ加工機3品目,関連マテリアル2品目の合計49品目である。
製品分野ではAV用光学部品が成長
調査によるとAV用光学部品の市場成長率が最も大きい。2005から2006年にかけてのAV用光学部品市場は,デジタル化や通信のブロードバンド化の進展などにより,大容量化,高画素化,高精細化が前年以上に進んでいる。2005年では全ての製品分野において前年を上回る市場規模となった。
2006年の光ピックアップ用光学デバイス市場は1兆2471億円の見込み。2010年の予測は2006年に比べて6.9%増の1兆3337億円。付加価値の高いDVD記録型の伸びが著しい。2006年には青紫色半導体レーザを用いる次世代DVDの市場も形成された。しかし,薄型のCD-R/RW装置の生産中止に伴う減少や,DVD-ROM用などの減少が大きく,これらの市場は2007年以降は微減と予測する。
携帯電話機向けカメラ用光学デバイスの2006年の市場は5578億円の見込み。2010年の予測は2006年に比べて31.5%増の7337億円。成長の大きい市場といえる。携帯電話機向けカメラは,現在先進国では高画素化が進んでいるが,カメラ付き携帯電話機自体が新しく市場化された国や地域も多い。市場のボリューム・ゾーンはVGA品や100万画素品である。
2006年のDSC/DVC用光学デバイス市場は4189億円の見込み。2010年の予測は2006年と比べて9.7%減の3783億円。数量は今後も伸びていくが,各部品の低価格化が進み,金額ベースでは微減が予測されるという。2006年は前年よりもさらに高画素化が進んでいる。
部品分野の成長市場はイメージ・センサ
部品市場を大きく成長させている要因は携帯電話機といえる。カメラ付き携帯電話機の普及に伴い,イメージ・センサ市場全体が急成長した。2005年に出回ったカメラ付き携帯電話機用のイメージ・センサは3億8260万個。イメージ・センサ市場全体の約3分の2を占めた。2006年のイメージ・センサ市場は数量で8億2000万個,4183億円の見込み。数量ベースでは前年比114%増となる。2010年には数量13億9000万個,金額で4844億円に成長すると見られている。イメージ・センサは,エリア・イメージ・センサとリニア・イメージ・センサに分けられるが,エリア・イメージ・センサ分野はカメラ付き携帯電話機用だけでなく,他の用途のセンサも軒並み成長した。一方,リニア・イメージ・センサはOA機器市場に依存する。2005年のリニア・イメージ・センサの市場は,全体で前年比6.9%増の8680万個。複合機(MFP)向けのセンサは需要が旺盛で,拡大が見込めるという。今後もイメージ・センサ市場は堅調に推移していくと見られる。特にカメラ付き携帯電話機は日常持ち歩く必需品といえるため,新規需要に加えて買い替え需要もある。イメージ・センサ市場の中で,さらに大きなシェアを獲得すると予想する。
部品市場で他に注目されるのはレンズである。2006年の市場は数量で49億個,金額は約2116億円の見込み。これが2010年には数量で65億個,金額で2172億円になると予測する。数量ベースで市場を牽引するのは光ピックアップ用と携帯電話機用。光ピックアップ用は大きな増加はないものの,毎年安定した需要が見込まれる。一方,携帯電話機用はカメラ付き携帯電話機の需要が引き続き好調であり,2006年以降も拡大傾向だと予測する。