船井電機は,大阪国税局が同社に下した更正処分を不服とし,処分の取消請求訴訟を大阪地方裁判所に提起した。
問題となっているのは,船井電機の香港拠点だ。船井電機は1992年に物流拠点として香港に「船井電機(香港)有限公司」を設立した。同拠点では部品の調達を行い,調達した部品は中国の生産拠点へ,中国で製造したテレビやDVD機器は全世界へ運ぶという役割を担ってきた。従業員は現在30人程度という。
この拠点について大阪国税局は,事業実体のないタックス・へイヴン利用を目的としたものであると判断し,2005年6月28日,タックス・へイヴン対策税制を適用して過去3年分の追徴税約160億円を課す更正処分を船井電機に下した。タックス・へイヴンとは,税金が軽減される国や地域のこと。企業がこのような国・地域に実体のない拠点を設立して所得をその拠点に不当に留保した場合に,その所得が日本で発生したものとみなして親会社に課税する制度をタックス・へイヴン対策税制と呼ぶ。
船井電機は2005年8月24日に異議申立を行ったが2006年6月27日に却下されたため,同年7月25日に大阪国税不服審判所に審査請求を行った。この審理は現在も継続中だが,船井電機は国税局側の答弁内容などを不服とし,「このまま審理を継続しても早期解決にはつながらない」(同社)として,大阪地方裁判所への提訴に踏み切った。