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図1 「2009年に営業利益率5%を達成することが私のコミットメント。とにかくやり抜く」と語る,日立製作所 執行役社長の古川一夫氏。
図1 「2009年に営業利益率5%を達成することが私のコミットメント。とにかくやり抜く」と語る,日立製作所 執行役社長の古川一夫氏。
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図2 2009年度までに収益構造の改革を目指す。
図2 2009年度までに収益構造の改革を目指す。
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 日立製作所は報道関係者に向けて経営説明会を開催した。この中で,2009年度の連結営業利益率として5%を数値目標とし,市場ニーズを重視したマーケット・インを貫いて利益の創出に徹することを明らかにした(ニュース・リリース)。高い営業利益率に向けて,事業評価のルールを徹底する。従来は「管理が徹底せず,それまでに大きく投資してきた薄型テレビやHDDといった事業は,赤字のままになってしまった」(同社 執行役社長の古川一夫氏)とする。今回は,「聖域なき事業の再編と見直し」を掲げており,これらの事業についても見直しをする可能性があるとした。

 事業の評価には,独自の付加価値評価指標FIVを利用する。FIVは,税引き後事業利益から資本コストを控除し,環境に対する影響など事業部ごとの係数を加味した独自の付加価値評価指標。営業損益が黒字でも,資本コストを上回る収益がなければFIVは赤字になる。「FIVルール」として,2年連続でFIVが赤字であれば,再建計画を立てる。再建計画が不承認となった場合や,再建計画承認後2年以内に黒字化しない場合は撤退計画を立案し実行する。

 現在の赤字事業は「電力システム」と「薄型テレビ」,「ハードディスクドライブ」。これら3事業については古川氏自ら再建計画を見直し,それぞれ2007年度に営業損益を黒字化し,2008年度にはFIV黒字化を目指すとする。

研究開発も収益性を重視

 研究開発においても,収益性を重視する。中央研究所や基礎研究所といったコーポレートの研究者の15%を事業部門へ配置する。研究開発費の売上高比率を現在の4.4%から5%に引き上げ,研究者も増員する。また,製品などの開発期間は,全社で開発ノウハウを共有したり,最先端の開発ツールを導入したりすることで30%短縮する。先行者利益を確保するのが目的である。研究開発に注力することで,シェア1位または2位の製品による売上高比率を現在の30%から2009年度には40%に引き上げることを狙う。