住友金属鉱山は,デジタルカメラに使えるフィルム状の吸収型NDフィルタの量産を開始した。ND(Neutral Density)フィルタは,可視光(波長400n~800nm)量をほぼ均一に減らすための素子。同社は2005年秋からサンプル品の提供を行っていたが,本格的な参入に向け,量産に踏み切る。
NDフィルタは,CCDやCMOSといった撮像素子の高感度化に伴い需要が増加しているという。絞りによる光量調整だけでは,十分に減光できないからだ。従来のNDフィルタは,価格や耐熱性の面で実用的でなかった上,防犯カメラの夜間撮影用途においては近赤外光の減光特性にも問題があったと,同社は主張している。
同社が新たに開発したNDフィルタは,樹脂フィルム基板にスパッタリングで無機材料を非常に薄く成膜したもの。分光特性の波長依存性が可視光域でも近赤外光域でも小さい。加えて,温度や湿度といった環境変化による反りが発生しない。また,フィルム状なので,デジタルカメラに追加搭載しやすい。
NDフィルタの量産にはロール・ツー・ロール方式を採用。量産性に優れており,既存のNDフィルタよりも低価格を実現できるという。同社では,今回の市場参入を契機として,携帯電話機のカメラモジュール向け製品の開発・供給も視野に入れる。