ターボリナックスは,USBから起動する小型・軽量パソコン「ウイズピー」を2007年2月に発売する。質量は約60g。内蔵のフラッシュメモリーにOSやアプリケーション・ソフトウエアが書き込まれており,ごく一般のパソコンに接続して使用する。「自宅やオフィス,外出先などどこにいても使い慣れたパソコン環境を利用できる」(同社取締役財務統括 兼 CFOの岡田光信氏)のが特徴だ。価格は3万円以下を予定している。
OSには,同社が開発・販売しているLinuxベースの「Turbolinux FUJI」を採用。現行の製品に対して,デバイスドライバの更新といった改良を加えている。主なアプリケーション・ソフトはWWWブラウザやメールクライアント,ワープロや表計算のソフトを統合したオフィスソフトなど。日本語入力環境(変換ソフトはジャストシステムの「ATOK」を予定)も備える。メモリーの容量は4Gバイトで,OSや基本ソフトに1~1.5Gバイトが必要になるため,データストレージとして使える容量は2.5Gバイト程度になる。
同社が想定している使い方としては,WWWブラウザのブックマークやキャッシュ,ログイン情報などを,外出先や出張先のホテルなど,普段は使用していないパソコンでも簡単に利用できるというものである。このような情報をどこでも使えるようにするためには,現状は手間がかかるが,こうした不便さを回避するためのツールとして需要を見込む。
パソコンでは通常,電源を入れるとまずBIOSが起動し,このBIOSが自動的にOSを動作させるという手順を採る。このとき,OSを見つけにいくディスクドライブの順番が存在し,一般的にはフロッピーやCD-ROMといった外部媒体のディスクドライブを探した後,HDDディスクドライブを探すような設定になっていることが多い(順番の設定はBIOSにおいて変更することができる)。ウイズピーを使用する場合,CPUなどのハードウエアを“間借りする”パソコンの電源を入れる前に,ウイズピーをUSBインタフェースに接続。上記のような,HDDの前にCD-ROMのディスクドライブを探しにいく設定にしておくことで,ウイズピーを起動することができる。「場合によっては,ユーザーがBIOSの設定を変える必要がある」(同社)。
ウイズピーのメモリーには,USB接続のフラッシュメモリーとして見える領域と,USB接続のフラッシュメモリーであるにもかかわらずCD-ROMのメモリーのように見える領域があり,両方にOSが書き込まれいる。こうした冗長性を持たせておくことでさまざまな外部インタフェースを持つパソコンで使えるようにしている。
また,ウイズピー単体は音声録再機や映像再生機として機能する。マイクやスピーカ,表示パネルを備えており,特に表示部には1.71インチ型の有機ELディスプレイを採用した。当初は液晶パネルも検討したが,映像を見るには画面サイズが小さいこともあって十分な性能が得られなかったという。有機ELディスプレイのメーカーは明らかにしていない。