PR
新タワーと周辺施設の1/500模型。北十間川のほとりに建設される。
新タワーと周辺施設の1/500模型。北十間川のほとりに建設される。
[画像のクリックで拡大表示]

 東武鉄道と新東京タワーは,現在の東京タワーに代わって地上デジタル・テレビ放送などの電波塔となる新タワー(仮称:すみだタワー)のデザインについて,事業者案が決定したと発表した。デザインは「日本の古代建築を意識したものになった」(設計を担当した日建設計 代表取締役社長の中村光男氏)という。

 新タワーは,東京都墨田区の押上地区と業平地区の間にある東武鉄道の所有地に建設されることが決まっている(関連記事)。タワーの高さは610m。地上から350mと450mの地点にそれぞれ展望台を設ける。今回のデザインで,「心柱」と呼ぶ鉄筋コンクリート製の中心軸と,心柱を取り巻く編み籠状の鉄骨による「塔体」から成る構造を採用した。

 デザインを監修した,彫刻家で元・東京芸術大学学長の澄川喜一氏によれば,この構造は,これまで地震による倒壊を免れてきた京都の東寺や奈良・法隆寺の五重塔の構造と同じだという。心柱と塔体の相互作用が地震の揺れを低減するためで,今回は心柱と塔体との間にダンパーを設置して,耐震性をさらに高める。

 タワーの形状にも日本の古代建築の様式美を盛り込んだ。具体的には,次のような形状である。すなわち,まずタワーは心柱と塔体の3本の足で支えるため,地上付近のタワーの断面は塔体の足を頂点とする正三角形となる。ところが,展望台のある350m以上の高さでは断面が円形である。0~350mの間は,三角形の辺にあたる部分がしだいに膨らんで,円形に近づく形状になっている。この結果,タワーを見る角度によって,塔体のシルエットが日本刀のようにゆるやかに反っているように見えたり,逆にふくらんでいるように見えたりする。このふくらみは,「むくり」と呼ぶ,日本や世界の古代建築にある柱のふくらみを意識したという。

 地上デジタル放送用のアンテナは,地上からの高さが550~650mの約100mの間に取り付けられる。この部分の断面は円形で「耐風性が高い」(日建設計の中村氏)という。