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 三菱商事と岩手大学は「ダイカストにおけるフラーレンの離型効果の評価」というテーマで共同研究を開始した。研究期間は2006年11月~2007年7月を予定。その成果は,三菱商事の販路を使ってダイカストメーカーに販売していく。また,共同研究で得たデータを販売ツールとして活用する。

 ダイカストによる製造が抱える問題として,金型への焼き付きが頻発し,生産効率が上がらないというケースがある。そこで三菱商事は,ダイカスト金型の冷却兼離型剤としてフラーレンの活用を考案した。フラーレンを一般に使われている水系離型剤と併用することで,金型への焼き付き頻度を大幅に削減できるという仮説を立て,検証したところ,実際に優れた離型効果を確認できたという。

 炭素の一種であるフラーレンは金型素材の鉄となじみやすい一方,アルミニウムやマグネシウムにはなじまない特性がある。さらに工業素材としてのフラーレンは,軟らかい球状分子結晶構造を持つため金型表面の微細な凹凸に均一に塗布できる。またフラーレンは反応性が高いためアルミの溶湯熱によって金型面と反応し,強固な炭素膜を形成する効果もある。こうした性質が前述の焼き付きを防ぐと,三菱商事では期待していた。前出の検証には,フラーレンの製造・販売を行うフロンティアカーボン(本社東京)が協力している。

 離型効果が有ることが判明したことから,同社は離型メカニズムの解析と各種データの取得を目的に岩手大との共同研究に踏み切った。岩手大は2006年4月に日本では初めてとなる「金型・鋳造工学専攻」過程を設けるなど,この分野では先駆的な役割を果たしていることが,提携の決め手となった。この共同研究の成果は,フロンティアカーボンの商品開発にフィードバックされる予定。