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BANのグループにおけるNICTの資料から
BANのグループにおけるNICTの資料から
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 ヘルスケアやメディカル用途などに向けた無線通信方式に関して,米IEEE802委員会が2007年初頭から標準づくりを開始することが明らかになった。

 近距離無線の標準化を進めるIEEE802.15部会は,「BAN(body area network)」という名称で活動していたIG(Interest Group)を,2006年末からSG(Study Group)に昇格させる。2007年1月の会合から,SGとして標準化の議論を始める。想定する用途などを詳細に検討した後,正式な部会創設の提案書を作成することで,2007年中にも作業部会(TG:Task Group)に昇格させることを目指す。

 これまでに検討された内容によれば,BANは人体周辺の機器(身につける時計やセンサ,携帯電話機など),および人体内部(いわゆるインプラント機器)などを対象にした無線通信に向けた規格という。近距離無線通信ではPAN(personal area network)という概念があるが,その伝送距離をさらに短くして人体周辺に限定したようなコンセプトである。利用する周波数帯などは未定だが,400MHz帯や600MHz帯の利用などが議論に上っている。今後,伝送方式や求められる伝送距離の要求値などを固めていく方針である。

医療ICTの要素技術の一つに


 想定するアプリケーションについて,BANのグループを主導する横浜国立大学 工学部 教授の河野隆二氏は次のように語った。「利用シーンはいくつかを想定している。まず,医療目的用の本格的なBAN。これはインプラント機器と外部機器との通信インタフェースなども含まれる。次は福祉用途。メガネや杖にセンサを埋め込んで行動支援を行うなどがありそうだ。そしてエンターテインメント用途がある。音楽コンテンツを携帯機器間でやりとりするといったものだ。エンターテインメント用途に関しては韓国メーカーなどが強い興味を示している。」(横浜国立大学 工学部 電子情報工学科 教授の河野隆二氏)。ただし,標準化作業に参加しようとしている各国のメーカーが実際にどのような用途を考えているかは,関知しづらい領域でもあるという。

 現在国内では,医療分野への情報通信技術の活用(いわゆる医療ICT)の議論が活発に進んでいる。BAN IGの創設に関わった河野氏は,横浜国立大学が2006年9月に設立した組織「未来情報通信医療社会基盤センター」のセンター長および,情報通信研究機構の医療支援ICTグループのグループリーダーを務めており,医療ICT分野の産学連携を積極的に推し進めている(関連ページ)。こうした医療ICT分野に,BANのグループで国際標準化した無線通信方式が利用される可能性もある。標準化を推し進めることで対応ICのコスト低減を実現し,早期の利用開始を目指す考えのようだ。