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図1◎Extem樹脂のペレットとパウダー
図1◎Extem樹脂のペレットとパウダー
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 米GE社のPlastics部門は、耐熱・耐薬品性などに優れた非晶性熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂「Extem」を製品化したと発表した。Extemは、非晶性樹脂の低い熱膨張係数と結晶性樹脂の耐薬品性をあわせ持つのが特徴。従来製品の「Ultem」と比べて耐熱温度が100℃ほど上がり、塩素系溶剤に対する耐薬品性が優れているほか、温度変化による寸法安定性や難燃性も向上した。

 高価な結晶性樹脂では、高温で荷重をかけた場合の耐クリープ性と寸法安定性が低下するが、Extemは、広い温度域で寸法精度が安定しており高い剛性を維持できる。引っ張り強度試験において、170℃環境では23℃環境に対し50%以上の強度を保てるという結果が得られた。

 Extemのガラス転移点は最高311℃で、連続使用温度はテスト段階で220~230℃程度。非晶性樹脂でありながら、結晶性樹脂に近い長期使用温度を備える。一般的な結晶性樹脂はフィラーを加えることで長期使用温度を保つが、Extemはフィラーを充填せずに保てる。

 難燃性が高く、環境に悪影響を及ぼすハロゲン系添加剤を使用しない。また、ナチュラルグレードではガラス繊維などの強化フィラーを充填しないためリサイクルが可能。射出成形できるため既存の成形設備を転用可能で、成形後の硬化や結晶化などの二次加工処理が不要となるため、サイクルタイムを削減できる。

 同社は既存樹脂部品だけでなく、より高い耐熱性が求められる金属部品の代替材料としての需要を見込んでいる。対応分野は一般工業製品、半導体搬送機器、航空・宇宙および軍事、ヘルスケア、高性能繊維、高性能フィルム分野など多岐に渡るが、日本では特に電気・電子分野、自動車分野、半導体分野に注力して販拡していく。

 すでに米国で試作し、サンプル出荷を始めた。価格は顧客ごとの直接交渉として明らかにしていないが、Ultemと比べて性能が向上した分高くなるという。Extemの量産に向けて、スペインのCartagena工場に2億5000万ドルを投資し、UltemとExtemの生産能力を拡大する。現在建設中で2007年末に完成し、2008年から生産開始する予定。

図2◎高耐熱性樹脂のポジション。上部三角部分はスーパーエンプラで、高温時でも特性を維持できるが2次加工処理が必要。下部左側は高性能非晶性樹脂で、寸法安定性、熱加工性が高い。下部右側の結晶性樹脂は耐薬品性が優れているものの、高温時でも耐薬品性を維持するにはフィラーが必要となる。
図2◎高耐熱性樹脂のポジション。上部三角部分はスーパーエンプラで、高温時でも特性を維持できるが2次加工処理が必要。下部左側は高性能非晶性樹脂で、寸法安定性、熱加工性が高い。下部右側の結晶性樹脂は耐薬品性が優れているものの、高温時でも耐薬品性を維持するにはフィラーが必要となる。
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図3◎温度による強度変化
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図4◎23℃と170℃での引っ張り強度
図4◎23℃と170℃での引っ張り強度
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図5◎耐薬品性試験。メチレンクロライドに24時間浸漬後、引っ張り試験したもの。PEI(右)は細かい亀裂が入り、引っ張り伸び率が通常の16%しか維持できなかった。一方Extem(左)は変化がなく、ほぼ100%の伸び率を維持した。
図5◎耐薬品性試験。メチレンクロライドに24時間浸漬後、引っ張り試験したもの。PEI(右)は細かい亀裂が入り、引っ張り伸び率が通常の16%しか維持できなかった。一方Extem(左)は変化がなく、ほぼ100%の伸び率を維持した。
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