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 富士通と富士通研究所は,PFLOPS級の計算能力を持つスーパーコンピュータ(ペタコン)に向け,インターコネクト用光パケット・スイッチを開発した(発表資料)。スイッチ速度は10ns以下という。これにより,インターコネクト上のスイッチ数,光電変換器数,配線数を削減し,システムの低消費電力化,運用性向上を実現するとしている。

 今回開発した光パケット・スイッチは入力2×出力2の構成を採る。パケット長1.2μsの光パケット信号で切り替え動作を確認したとする。特徴として以下の2点を挙げている。
(1)光スイッチの制御を行うアービター部や,各ノードからのデータを光パケット信号に変換する光パケット変換部を開発。光スイッチングの課題だった光パケット信号のスケジューリング,パケット信号単位でのスイッチ・システム同期,光パケット信号転送を可能にした。
(2)半導体光増幅器(SOA)を採用。10ns以下の切り替え速度を達成できた。
 
 既存のスーパーコンピュータでは,インターコネクトに電気クロスバー・スイッチが広く用いられている。しかし,これをPFLOPS級のシステムに適用すると,電気スイッチ台数,ケーブル数が莫大な数になり,消費電力の増加やシステム構築の複雑さが課題となる。これを解決するものとして,より広帯域で低損失,細径の光ファイバーを用いたインターコネクトが待望されていた。この光インターコネクトにおいて,帯域幅を拡大する波長多重(WDM)技術と,光電変換せずに切り替え動作を行う光スイッチは,システムの簡素化,低消費電力化に有効と考えられている。しかし,電気スイッチを光スイッチで置き換えても,電気メモリを代替する光メモリがなければ,光パケットの信号制御は煩雑であるという。また,現行の光スイッチの速度はmsレベルであるため,スーパーコンピュータには向かなかった。

 今回の光スイッチを用いれば,従来の電気スイッチ構成に比べ,スイッチ台数と配線数は約1/16,消費電力は約2/3,ラック数は約1/2に削減できると試算した。これに伴い,運用性も向上,PFLOPS級システムのインターコネクト構築が容易になるとする。

 富士通と富士通研究所は,九州大学,福岡県産業・科学技術振興財団,九州システム情報技術研究所と共同で,文部科学省からの委託研究「ペタスケール・システムインターコネクト技術の開発」を進めている。ここでは,インターコネクト向け光パケット・スイッチ構成およびシステム制御で成果を得た。また,富士通は,NEC,NTT,NTTコミュニケーションズ,名古屋大学と共同で,情報通信研究機構(NICT)からの委託研究「高機能フォトニックノード技術の研究開発」も進めている。ここでは,SOAを用いた超高速スイッチング技術を開発できたという。今回の開発は,これらの成果に基づいたものとしている。

 今後は,実際のシステムへの導入を目指す。256ポート規模の光パケット・スイッチ多ポート化,ポート当たりテラ(T)ビット/秒クラスの速度を実現する広帯域化に加え,システムの小型化と動作の安定化,保守/運用性の向上を目標に掲げている。さらに,この技術の適用範囲を,広域ネットワーク(WAN)や構内ネットワーク(LAN)といったネットワーク通信分野にも拡げていく考えだ。