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報道陣と懇談する西田厚聰東芝社長
報道陣と懇談する西田厚聰東芝社長
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 「出しますが,安くないですよ」──東芝の年末記者懇親会で取締役代表執行取締役社長の西田厚聰氏は,「SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)」についてコメントした。製品出荷の時期は「2007年秋の予定」とした。

まずはスタジオ・モニター向け


 西田氏は,ブラウン管がなくなろうとしている現在,SEDに本当に期待しているのは放送業界であるとする。「製品化できれば,100台でも200台でも持ってきてくれというスタジオはいくつもある」(西田氏)。スタジオのリファレンス・モニターとして液晶ディスプレイやプラズマ・ディスプレイでは十分でないとする。

 2007年秋に製品出荷を予定しているSEDだが,「数は少ない,高い,ハイエンド」(西田氏)として,業務用をまずターゲットに考えている。姫路での量産工場の建設計画(Tech-On!関連記事1)については「予定通り進めている」(同氏)とする。しかし,一般用のテレビ分野でSEDは「液晶テレビと競って勝てるものではない」(同氏)とし,現在のテレビ市場で勝負するわけではないとの考えを示した。

 「液晶テレビやプラズマ・テレビは,既にコモディティ化している。一般に,コモディティ化すると5年後にはなくなってしまう。SEDは囲い込んでコモディティ化を先に持っていき,“脱コモディティ化商品”として健全に育てていきたい」と,西田氏は言う。SEDパネルの外部供給については,「独占しているわけではない。先の話だが,2番目,3番目の工場もあり得る」(同氏)とした。

 今後のテレビ向けパネル技術について西田氏は,「プラズマ・ディスプレイはフルHD(high definition)化やそれ以上の多画素化が原理的に難しい」とする。一方,液晶テレビやレーザー・リアプロ・テレビなどで提案されている広色域化について聞いたところ,「新しい電子源の開発や,製造工程を縮められる構造の開発など,SEDもまだまだ進化する」(同氏)とした。

 SEDの次には,アクティブ駆動型の有機EL(electroluminescence)ディスプレイが有望とした。低温多結晶Si(p-Si)TFTライン(東芝松下ディスプレイテクノロジー,Tech-On!連記事2)に投資をしているのは,このためだとする。ただし,「まだ3型や4型の段階であり,2~3年で40型の有機ELディスプレイを作るのは無理。2015~2016年でも難しい。それまではSEDだが,10年先,20年先のことを考えるのが経営」(同氏)とした。

HD DVDは独占も

 HD DVD(Tech-On!関連記事3)について,同社執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏は「機器の互換性のチェックが大変。当社1社で何百万台を作って供給した方がいい」とコメントした。HD DVDの登場で,画質やインタラクティブ性(双方向性)が評価されたとして,東芝グループのAV関連事業では「SEDと,この新しいデジタル・メディアが“稼げる”製品」と位置付けた。

 対抗するBlu-ray Disk陣営に対して西田氏は「業界活性化のために早く出てきてほしい」としつつも,「2006年末段階で既にHD DVDは映画タイトルは300もある。パソコンへの搭載でDVDの市場が一気に拡大したように,HD DVDもパソコンへの搭載によって『パソコンでも映画を見る』というユーザーが市場を引っ張ってくれるだろう」と述べた。「プレイステーション 3」(PS3)のBlu-ray Disk再生機能については,「映画を見るために購入するのは10%程度で,あとはゲーム・ユーザー」(同氏)とコメントした。