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 「中国版RoHS」の施行が迫ってきた。この対応に,実務の現場では混乱が続いている。2007年3月1日の施行に向けて,今後もさまざまな問題や課題が噴出しそうだ。

 その一例として挙げられるのが,「法律と実運用の乖離(逆転)」である。ある包装会社の担当者は「現在の中国版RoHSの法律の内容はあいまいな部分が多い。しかし,そのあいまいな部分は認証会社など実務を担当する部門の判断によって決まることになるのではないか」と指摘する。

 この包装会社の担当者は日本語も堪能な中国人であり,中国版RoHSの原文にも当然目を通している。しかし,こうした中国人が解読しても,内容の判断に苦慮しているという。

 その一因は,中国版RoHSそのものが「単に欧州連合のRoHS指令と日本のJ-Mossを真似して策定している可能性が高く,細かい部分には目が行き届いていない」(業界の複数の専門家)ためであるという。このため,個々のメーカーが自ら関連する部分を掘り下げていくと,内容があまりにも不完全だと感じることが多いのだという。

 前述の包装会社の担当者は,法律を策定する部門に対して疑問点を何度となく問い合わせしているものの「ほとんど反応がない」という。一方で,ある認証会社に問い合わせると「より実態に即した回答や考え方を聞くことができる」という。

 本来は,法律があり,その上で実運用の詳細が決まるのが筋である。それが,ある意味で逆転しているという一例である。これだけでなく,現場ではさまざまな問題や課題があることは想像に難くない。

 2006年7月1日に施行された欧州連合のRoHS指令では,早ければその1年前,遅くとも数カ月前には,大手電機メーカーの多くが「対応完了宣言」をしていた。しかし,今回の中国版RoHSにおいては,既に施行まで2カ月を切っているにもかかわらず,こうした宣言はどのメーカーからも一切出ていない。「法律があいまいである以上,対応完了の宣言はいつまでも出せない」(ある関西系大手電機メーカーの環境部門のマネージャー)。まだまだ法律の動向や内容を細かく追いかけていく必要がありそうだ。