ESD EMI エンジニアリング(本社東京)は,金めっきベリリウム銅製のスパイラル・スプリング・ガスケット「SBG」シリーズ(図1)と,金めっき導電布テープ「T-9270」(図2)を2007年2月1日に発売する。それぞれ錫(すず)めっきベリリウム銅製のスパイラル・スプリング・ガスケットと,銅+ニッケルめっき仕上げの導電布テープに変わるもの。EMI(電磁波干渉)の遮蔽(しゃへい)性が高い上,薄くて酸化しにくい金めっきを採用したため,電子機器の軽量/薄型化に対応できる。
一般にスパイラル・スプリング・ガスケットは,熱処理したベリリウム銅やステンレス鋼を使って弾性を高め,さらにばね形状とすることで,柔軟性も確保している。従来の錫めっきベリリウム銅板製の製品は,プラズマ照射後に錫の細かいボールが付着するケースがあった。これは,錫が電圧差によって移行するウィスカ現象のためとみられる。その現象への対策でステンレス鋼を使う場合もあるが,ステンレス鋼はベリリウム銅と比べて反発力が劣化しやすい上,電気抵抗値が高いためEMIの遮蔽性が低い。そこで今回,金めっきを採用した。直径が0.86~9350mmの13種類をそろえ,価格は,錫めっき品比で約50%増。
導電テープには,これまで銅箔やアルミニウム箔を使うことが多かったが,より軽量で安価な銅+ニッケルめっきを使う例が増えている。しかし最近は,「めっき層をさらに薄くして軽くしたい」というニーズに加えて「めっき層の酸化をなくしたい」というニーズがあるため,金めっきを採用した。さらに,導電布の起毛を抑えるために金めっきの上に薄いポリウレタンをコーティングした。銅+ニッケルめっき製の質量が76g/m2なのに対し,T-9270は26g/m2。価格は1050mm×50mで78万円と,銅+ニッケルめっき導電布テープの約3倍。