PR
[画像のクリックで拡大表示]

 信越化学工業は,Pb(鉛)を含有しない光アイソレータの製造技術を開発した。光アイソレータの主要な構成部品である「ファラデー回転子」に含まれていたPbを排除したもの。ファラデー回転子に含まれるPbを排除する技術はこれまで確立されていなかったことから,欧州連合のRoHS指令では適用除外用途となっている。今回の開発は,規制除外であるにも関わらず,敢えて先取りして挑戦した取り組みといえる。光アイソレータは,レーザ・モジュールなどに組み込まれ,発振されたレーザ光を一方向にだけ透過させる素子。光ファイバーからレーザ光源に戻る反射光を遮るために用いることが多い。

 光アイソレータの構成部品であるファラデー回転子は,液相エピタキシャル(LPE)法で育成する数100μmの希土類鉄ガーネット結晶を使う。この結晶成分を形成するために利用する高融点の酸化物として,これまでは酸化鉛が不可欠だった。これに対し今回は,酸化鉛を利用しないLPE法を信越化学工業が独自に開発した。これにより,ファラデー回転子中に含まれるPbの含有量を「従来の約5000ppmからゼロにした」(同社)という。同社はファラデー回転子のPbフリー化に向けた量産技術にメドを付けたとしており,全面的にPbフリー化を進めていく考え。