富士通と富士通研究所は,北米で導入が進みつつあるG-PON(Gigabit Passive Optical Network)光伝送ネットワークに向け,光強度差が1000倍以上のバースト信号を受信できる光トランシーバを開発した(発表資料)。また,世界で初めて動作温度範囲-40~+85℃に対応できたとしている。SFP型およびSFF型の2タイプの製品を,2007年4月末より販売する。
G-PONシステムでは,局側装置で加入者からの信号を時分割受信するが,光分岐装置(スター・カプラ)と加入者までの距離がまちまちであるため,最大で100倍以上の光強度を持った信号(バースト信号)を受信する必要がある。また,局側装置は通常,屋外に設置されるため,幅広い環境温度で動作することが求められる。これらに加え,1ユニットで多数の回線を扱えるよう,光トランシーバの小型化に対する要求が高まっているという。
今回の製品は,ITU-TのG.984.2 Class B+規格に準拠し,上り/下りの異なる波長信号で双方向伝送できる。独自のバースト受信技術を盛り込んだ新規開発のCMOS LSIにより,1000倍以上の光強度差がある信号も受信できる。十分なシステム・マージンを確保できるだけでなく,32分岐以上に分岐数を増加させることや,加入者までの距離を20km以上に延長することも可能になるとしている。また,-40~+85℃で安定した動作を実現したとしており,屋外のより厳しい環境下に設置された装置への搭載が可能になった。さらに,独自の小型光デバイス技術と高密度実装技術を併用し,従来より約20%の小型化を図ったことで,プラガブル(SFP)タイプも製品化できた。プラガブルなトランシーバは電源を投入したまま挿抜できるので,システム運用状態を保ちつつ増設や保守を行うことが容易になる。
富士通はこの製品で,2008年3月末日までに10億円の売上を目指す。なお,この製品のサンプルを,2007年1月24日~26日に東京ビッグサイトで開催される「第7回 ファイバーオプティクス EXPO(FOE 2007)」に出展する予定。