「我々のサーバー事業は,このところ4四半期連続で2ケタ成長を記録ている。こうした市場の変化を前に,我々はかつての確執を忘れる必要がある」。米Sun Microsystems, Inc. president兼CEOのJonathan Schwartz氏は,米国時間2007年1月22日にサンフランシスコ市で開いた記者発表会で,米Intel Corp.と戦略的な提携について同意したことを明らかにした(発表資料)。Sun社は86系マイクロプロセサを搭載するサーバー機に,以前はIntel社の「Xeon」を搭載していたが,このところは米Advanced Micro Devices社の「Opteron」に絞っていた。
同じ舞台に立ったIntel社 president兼CEOのPaul Otellini氏は,「Sun社は自社でソフトウエアとハードウエアを開発するという点で稀有な存在である。今回の提携によって我々のマイクロプロセサを,下位機種から上位機種に至るまでSun社のさまざまなサーバー機に採用してもらうことを目指す」と語った。
具体的にSun社は,Intel社の「Xeon」系のマイクロプロセサを搭載したサーバー機を2007年前半に発売する予定である。Intel社のマイクロプロセサの4個以上,例えば8個搭載したサーバー機の開発も行う。一方,Intel社のサーバー機のOEM事業部は,Solarisを搭載した製品を販売する。さらにSolaris以外にJava関連の技術開発などでも両社は協力する。
Sun社のSystems担当Executive Vice President,John Fowlerによると,Intel社がSolarisを搭載するサーバー機をOEM供給することにより,この製品が他社ブランドで市場に投入される可能性がある。「米Dell Inc.のSolaris搭載サーバー機が登場したら,我々はうれしい」(同氏)。また,Fowler氏は,Intel社とのJavaの共同開発により,Intel社のマイクロプロセサに最適した,今より実行速度が速いJava技術が登場する可能性があるという。
Intel社製チップの評価を上げる
このところSun社は,AMD社のマイクロプロセサの方がIntel社のチップよりも消費電力の点で優れているとして,86系のサーバー機にAMD社のマイクロプロセサだけを採用してきた。しかし,Sun社のFowler氏によると「Intel社の『Core』コアを2個集積した『Woodcrest』(Tech-On!関連記事)や(4コア搭載の)『Cloverton』(いずれも開発コード名)によって,今までの製品より単位消費電力当たりの演算性能などが向上した。これが我々の興味を引いた」という。AMD社 chief sales兼marketing officerのHenri Richard氏は,Sun社とIntel社の提携発表に対して声明を発表し,その中で「我々はユーザーに選択の余地を与えることを提唱してきた。顧客に選択肢を与えたいというSun社の考え方は理解できる」と語った。