PR

 横浜ゴムは,ゴム製品の生産工程で発生する加硫ゴム屑をタイヤなどの原材料として再利用する「マテリアルリサイクル量産化技術」を確立し,2007年1月から本格的に量産を開始した。この再生ゴムは「リサイクルゴム」と呼び,高い品質を特徴とする。それ故,タイヤやベルトなどに使用しても品質低下がない。こうしたリサイクルゴムの量産化は「業界で初めて」という。

 リサイクル量産化設備は,(1)粉砕設備(2)再生処理設備(3)冷却設備(4)切断・計量設備(5)脱臭・排ガス処理設備――から成る。ゴムは加硫することで鎖状のゴム分子同士が硫黄や樹脂などによって結合(架橋)し,強固で弾力のある加硫ゴムになる。ところが従来の薬剤を使う再生方法では,鎖状のゴム分子自体を切断しゴムの物性が大きく低下する。この問題を解決するために同社では,再生処理設備に2軸スクリュ押出機を導入した。これを使えば,薬剤による化学処理が必要なくなる上,加硫ゴムの結合部分(架橋点)を選択的に切断することができるという。結果,「新品ゴムに近い加工性と物性を持つ高品質なゴム原材料が再生できる」(同社)。

 同社は既に,主要タイヤ工場である三重工場にリサイクル量産化設備を導入しており,今後自社内の工場で発生した加硫ゴム屑をリサイクルしていく。まずは,ブチルゴム製の使用済み加硫ブラダを対象に,2007年には年間400トンのリサイクルゴムをタイヤの原材料に使用する計画だ。