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 「第4回 東京大学学生発明コンテスト」の受賞者が決定した。最優秀賞は,大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士4年の李禎翼氏が発明した「独自操作可能な実験動物用保定器」。ラットを用いた動物実験において,筋肉注射による薬物投与を一人でも実施できるようにした。同氏が実際の実験で使用するために考え出した装置だ。最優秀賞のほかには優秀賞が2点,アイデア賞が1点,奨励賞が5点の計9点が選ばれた。

 従来の保定器では筋肉注射することができず,二人で協力するなどして対応する必要があった。また,ジエチルエーテルによる麻酔が使われるケースも多いが,引火性と爆発性があるために安全性の面で問題があった。受賞した保定器の詳細は明らかになっていないが,「身近にあるものを使った,非常に簡単な構造」(東京大学)という点が評価されたという。

 優秀賞を受賞した「オートリバーシ」は磁石の力によって駒を自動的にひっくり返すオセロのゲーム盤。センサによって駒の置かれている場所,色を把握しておき,ひっくり返すべき駒を判断する。奨励賞として,ガラス転移点と融点の間の温度で成形した飴細工を模型として使う鋳造方法,紐などの柔軟物に発光素子を取り付けた回転型ディスプレイ――などが選ばれている。

 2003年に始まった東京大学学生発明コンテスト(http://hatsumei.iis.u-tokyo.ac.jp/)は東京大学の学部生や大学院生を対象とし,産業財産権などの知的財産権の理解を含めることが主な目的。東京大学生産技術研究所とTLO(技術移転機関)である生産技術研究奨励会が共催しており,優れたアイデアや発明については特許の権利化も支援する。

 第4回の今回はこれまでとほぼ同じ19件の応募があった。前回は博士課程が約8割と多かったが,今回は修士課程と学部で半数を超え,また,文科系から初の応募もあったという。学生の研究・専門領域に関する応募が約6割と過半数になるが,日常生活でのアイデアも4割を占める。