電子情報技術産業協会(JEITA)は2007年1月25日,2006年10月に発足させた「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」の活動内容について中間発表を行った。同委員会の活動目的は,Liイオン2次電池を搭載するパソコンの安全性を向上させること。ソニーの電池問題を機に発足させたもので,電池工業会とも連携している。活動期間は2007年3月まで。今回は,既に消費者に向けてはWebサイトを通じて適切なLiイオン電池の取り扱い方を発信していることや,Liイオン電池を安全に利用するための技術検討項目の洗い出しが終了したこと,などを発表した。
同委員会は二つのワーキンググループ(WG)を持つ。「情報発信WG」では,Liイオン電池の特徴,ノートPCの安全な利用方法などについて,一般ユーザーに正しく理解してもらうための情報発信を検討している。すでに「バッテリ関連Q&A集」をまとめ,2006年11月30日からJEITAサイト内で公開している。さらに,同Webページには参加企業各社のWebサイトからリンクも張り,告知を行っている。Q&A集の内容は,今後も適宜更新していくとともに,各社のマニュアルにおいても活用を検討してもらうという。
もう一つのWGである「技術検討WG」では,Liイオン電池をより安全に利用するために,電池パックおよびノートPC本体を設計・評価する際のガイドラインを作成することを目的としている。これまで活動を行ってきた2006年11~12月の「Phase-1」では,例えば「電池/制御回路基板配置」や「落下/振動/衝撃」など,どのような項目について指針を作るべきなのかを徹底的に洗い出した。
具体的には,「電池設計」「製造プロセス」「品質管理」「パック設計」「システム制御」と五つの大項目に分類。前の三つの大項目に関しては電池セルに関することなので電池工業会,後ろの二つの大項目に関しては技術検討WGと,二つのグループが個々の大項目に対してブレークダウンして,細かな重要項目を洗い出した。ただし,項目を洗い出す上では,別のグループから要望を聞くことで,連携の取れたものにしている。
ガイドラインはIEC規格へ
2007年1~3月の「Phase-2」では,これらの重要項目に対してそれぞれのグループが指針を策定。それを統合した上で,ガイドラインを作成する。3月末をめどに作成するガイドラインは強制力を持つものではないが,その後,国際機関にもアピールする予定。具体的にはIEC(国際電気標準会議)規格に提案することを考えており,2007年内の承認を目指す。
作成するガイドラインについて,技術検討WGの主査を務めるレノボ・ジャパンサービス&サポート品質お客様相談室室長の中尾健治氏は,「国内セットメーカーのノウハウを結集したものになる」という。ガイドラインを作成する際は,各社から重要項目を挙げてもらい,その中から共通項目だけを取り上げて指針を造るのが一般的。ところが今回は,例え1社からしか重要項目として挙がらなかったとしても,積極的に指針を造るようにしようというのが特徴とする。「andではなくorにすることで,より安全な機器を作成するためのガイドラインとなる」(中尾氏)。
なお,同委員会への参加企業は,カシオ計算機,シャープ,セイコー・エプソン,ソーテック,ソニー,東芝,NEC,日立製作所,富士通,松下電器産業,三菱電機,レノボ・ジャパンの12社。