セイコーエプソンの2006年10月~12月期決算は減収ながら大幅な増益となった。売上高は前年同期比12.8%減の3967億800万円,営業利益は同48.1%増の253億6500万円である。常務取締役 経営管理本部長の久保田健二氏(右写真)は,「社内の計画を上回る増益だったが,あまり喜べるものではない」と話す。増益が主に,対ユーロの為替相場が円安に推移したことや,プリンター出荷数量の絞り込みによるものだったからだ。
エプソンは2005年度の大幅減益(Tech-On!関連記事1)を受けて2006年度上期はプリンター事業において低価格帯の機種の出荷数量を絞り込むなどの戦略を講じて利益率改善を図ってきた(同2)。10月~12月期もこの戦略に沿って,主力のインクジェット・プリンターの販売数量を前年同期比で26%減らしながら,利益は伸ばした。プリンター事業を含む情報関連機器部門としては売上高が前年同期比9.1%減の2699億4600万円,営業利益は同114.8%増の324億9000万円だった。
ここまでは計画通りの進捗と言えるが,同社は10月~12月期中から,再び販売数量を拡大する路線に戦略を転換しているという。「本体の販売減が今後のインク・カートリッジの売り上げに与える影響が心配。2007年は本来の拡販路線に立ち戻る」(久保田氏)。利益率は再び低下が予測され,情報関連機器セグメントの2007年1月~3月期の業績は7%の減収,37%の減益になる見込みだ。
デバイス部門は「1月~3月期を底に」
電子デバイス部門の売上高は前年同期比23.1%減の1131億1600万円,営業損失は直前四半期から再び拡大して57億2000万円となった。不振は主に液晶パネル事業の低迷によるもの(下図)。競争の激化で価格下落が進んだことに加え,低温ポリシリコンTFT液晶パネルやMD-TFD液晶パネルなどの受注減が響いた。
![]() 電子デバイス部門の売上高(左は2005年10月~12月期,右が2006年10月~12月期) |
デバイス部門は1月~3月期も売り上げは23%減,赤字幅はさらに拡大して119億円になる見込み。低迷が続く液晶パネル事業について久保田氏は「三洋電機との合弁会社を100%子会社化して意思決定の迅速化を図るなど,事業体質の改善に着手はしているが,抜本的な改革案を示すのはこれから。デバイス部門の黒字化のメドは現在のところ立っていないが,1月~3月期を底にして収益を改善したい」とした(Tech-On!関連記事3)。
■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。 |