ガートナー ジャパンのデータクエストは,日本市場における2006年のパソコン出荷統計を発表した。それによると,出荷台数はデスクトップ型とノート型を含め,前年比3.6%減の1364万台だった。このうち法人市場は0.2%減でとどまったが,個人市場は8.0%減と大きく落とした。日本のパソコン市場は,2005年まで3年連続でプラス成長してきたが,2006年は大企業における需要や個人需要が減退したことからマイナス成長となった。
法人市場は,中小企業向けが好調だったものの,買い替えサイクルの谷間にあった大企業向けが落ち込んだ。大企業では「2000年問題」前後に購入されたパソコンが2004年に買い替えサイクルを迎え,次はこのときに購入したパソコンの買い替えになる。つまり次期の買い替えは2008年に本格化することになり,2006年では時期尚早だった。
個人市場は,4年続いたマイナス成長が2005年に終止符を打ったものの,2006年は再び減少に転じた。減退要因としてガートナー ジャパンは,(1)個人消費の中で,価格が大幅に低下した地上デジタル放送対応テレビの購入がパソコン購入よりも優先,(2)多くのパソコンが地上デジタル・チューナーを搭載したことで製品単価が上昇,(3)大型家電量販店の特価販促活動が2005年に比べて活発ではなかった,(4)米Microsoft Corp.の新OS「Windows Vista」対応パソコンの出荷開始前のための買い控え,またはパソコン・ベンダーの在庫調整/出荷抑制,を挙げた。こうした要因に加え,電子メールやインターネット閲覧にパソコンの用途が限定される消費者にとって,低価格化や故障以外にパソコンの新規購入や買い替えを促す材料が見当たらなかったことが個人市場低迷の根底にあるという。
デルは14.5%増と突出
データクエストは同時に,2006年におけるパソコン出荷台数の上位5社も発表した。シェア第1位はNECの20.0%で,以下は17.8%の富士通,13.6%のデル,10.2%の東芝,6.6%のソニーである。この順位は,2005年と変わらない。このうち,デルと東芝,ソニーが出荷台数を2005年に比べて伸ばした。デルは価格競争で他社をリードしたことに加え,防衛庁向けの大型案件を受注したことから前年比14.5%増と2ケタ成長した。東芝は同6.6%増,ソニーは同3.3%増である。
2007年における日本のパソコン市場についてガートナー ジャパンは,個人市場と法人市場で買い替え需要の増加が期待でき,再びプラス成長に転じるとみる。個人市場ではWindows Vista対応機が登場することから需要が喚起され,法人市場では2007年後半から大企業の一部でパソコンの買い替えが始まるとみる。ただし,パソコン市場の成長率は1ケタにとどまる見通しである。