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Atheros社のIEEE802.11n向けMAC層/ベースバンドLSI
Atheros社のIEEE802.11n向けMAC層/ベースバンドLSI
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Atheros社による通信距離と実効伝送速度の関係。700フィートで伝送速度は0になる。
Atheros社による通信距離と実効伝送速度の関係。700フィートで伝送速度は0になる。
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Broadcom社のIEEE802.11n向けトランシーバLSI
Broadcom社のIEEE802.11n向けトランシーバLSI
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 米Atheros Communications,Inc.と米Broadcom Corp.は,ISSCC 2007でそれぞれ次世代無線LANの仕様IEEE802.11nに向けて開発したLSIについて講演した。Atheros社の講演は,MAC層回路とベースバンド回路を1チップ上に集積したLSIについてで,世界で初めて送信用アンテナ3本,受信用アンテナ3本のいわゆる3×3のMIMOの信号処理回路を実装した(講演番号14.7)。一方,Broadcom社の講演は,2×2のMIMOに対応したトランシーバLSIについてである(講演番号31.2)。いずれも物理層での伝送速度約300Mビット/秒に対応したという。

 Atheros社のMAC層/ベースバンドLSIは,0.18μmルールのCMOS技術で製造した。ダイの寸法は7.84mm×7.76mmで,パッケージも含めた寸法でも14mm角と,米QUALCOMM社(旧Airgo Networks社)のIEEE802.11n Draft 2.0対応MAC層/ベースバンドLSI「AGN413BB」の15mm角よりやや小さい(関連記事)。消費電力は送信時が1110mW,受信時が1379mWで,複雑な信号処理を行っている割には小さいといえる。

3×3だが空間多重数は2本

 同LSIは3×3のMIMOに対応しているため,送信時のIFFT(逆フーリエ変換)回路や9ビットのD-A変換器,受信時の9ビットのA-D変換器やAGC(自動利得制御回路),FFT回路などをそれぞれ3系統備えている。ただし,空間的な多重数は最大2本で,残りのアンテナ1本分の自由度は伝送品質の安定化に用いている。MIMOの信号処理技術としては,MMSE(minimum mean square error)を実装した。

 Atheros社の講演はMAC層/ベースバンドLSIについてだが,同社は「今回は詳しく話せないがトランシーバLSIも開発済み」(講演者のAtheros社 Paul Petrus氏)で,伝送速度の測定でもこれらのチップセットを用いたという。ただし,「反射などの状況をシミュレーションしやすくするため」(同氏),無線は利用せず,アンテナ間を信号強度を制御するためのアッテネータを介したワイヤーで直結して性能を測定した。

 測定値は,40MHz幅での伝送時で物理層の伝送速度が最大300Mビット/秒,TCP層での実効データ伝送速度が150Mビット/秒となった。ただし伝送速度は通信距離が増えるほど低下し「700フィート(約213m)で伝送速度がほとんどなくなる」(同氏)という。

 一方,Broadcom社のトランシーバLSIは,2×2のMIMOに対応し,さらに電波の周波数は2.4GHz帯と5GHz帯に対応する。このため,送信回路および受信回路のRF部分は,それぞれ4系統ずつになる。プロセス技術はAtheros社と同じ0.18μmルールのCMOSで,ダイの面積は18mm2とやや大きい。電源電圧は1.8V,消費電流は送信時に280mA,受信時に275mAである。

 物理層での伝送速度は40MHz幅のチャネル利用時に最大300Mビット/秒。詳しくは明らかにしなかったが,MAC層LSIと組み合わせて測定した実効データ伝送速度は平均198Mビット/秒以上という。