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ルネサスの品質改善の例 同社が2006年12月中旬に実施した自動車事業説明会で見せた資料
ルネサスの品質改善の例 同社が2006年12月中旬に実施した自動車事業説明会で見せた資料
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 安定的な成長が見込めると,多くの半導体メーカーが期待する自動車市場。自動車向け半導体の世界市場において国内メーカーでトップを走るというルネサス テクノロジに(Tech-On!関連記事),信頼性や品質をキーワードに話を聞いた。今回インタビューに応じたのは,同社システムソリューション統括本部自動車事業部事業部長の三木務氏である。

問 自動車半導体では信頼性が重要と聞いている。高信頼性は日本の得意技である。それをうまくビジネスにつなげることはできないか。例えば,高信頼性の半導体を高く買ってもらえたりはしないものか。

三木氏 残念ながら,高信頼性だからと言って高く買ってもらえることはない。ただし,高信頼性に意味がないというわけでもない。自動車メーカーの品質要求は一般の機器メーカーに比べればかなり厳しい。この要求に応えらなければ,市場に参入すらできない。競合の半導体メーカーが多い現状では,高信頼性は市場に参加するための入場券,かつ生き残るための条件のようなものだ。

 実際,自動車半導体市場のメジャー・プレーヤは絞られてきている。特定の製品だけを供給する専業メーカーを除くと,すなわちある程度の品ぞろえをしているメジャーのプレーヤは当社を含めて世界で6社と考えている。日本,米国,欧州に2社ずつという状況である。エンジン向けのマイコンに限れば,当社を含めて実質4社という状況になった。

問 高信頼性が選択の条件だとすると,それらは数値化されているのか。

三木氏 製品のスペックや検査手順などに対して,自動車メーカーや電装メーカーの基準はある。しかし,これらだけでは信頼性の判定は難しい。実際に使ってみないと,なかなか本当には分からないのが信頼性である。

 日本の半導体メーカーの製品が欧米の自動車/電装品メーカーに最初に受け入れられたのは,「日本の自動車の信頼性が高い→それは日本の電装品の信頼性が高いため→それは日本の半導体の信頼性が高いため」という論法のおかげだと言える。その後,徐々にシェアを拡大し,先ほど述べた6社や4社に日本の半導体メーカーが入ったのは,使ってもらって信頼性や品質の高さを認識してもらっていった実績のおかげであると考えている。

問 自動車向け半導体と民生機器向けなど一般的な半導体で品質保証に関する取り組みで何か違いはあるか。

三木氏 モノを作るというメーカーの仕事の中には,信頼性を確保し品質を維持するという役割がある。この意味では,すべての製品で品質保証に対して真摯に取り組んでいる。ただし自動車は,AV機器などの民生機器に比べて,半導体の使用環境としては厳しい。例えば,温度や電圧などで,広範囲な対応が求められる。また,事故が発生したときの影響も深刻である。このため,様々なフェーズで対策を取っている。

 例えば製造では,「Policy for Automotive」という方針を掲げ,日本を含めて世界の工場の従業員に自動車用半導体を作っていることを認識してもらっている。例えば,Policy for Automotiveの前文には,「自分や自分の家族が乗る自動車で使う製品を作っていると考えて業務に従事するように」と書いた。また,工場の壁には,「自動車用半導体に不具合が発生した際にどんな問題が起こるか」を訴えるポスターを貼ってある。

 テストやスクリーニングは,一般の半導体よりも厳しくなっている。例えば,想定する温度範囲や電圧範囲が広かったり,温度サイクル試験の回数が多かったりする。加速試験の期間も一般半導体では10年を想定しているのに対して,自動車では20年を想定したりする。さらにプロセスが安定してくると,一般の半導体では抜き取り検査に移行する項目があるのに対して,自動車用半導体では全量検査が基本となっている。

 以上は主に製造に関連しているが,開発工程でも対策は取っている。開発フローや設計ルール/基準を自動車半導体向けに特別に用意してある。この開発のフローは,ISO/TS16949という,米国の自動車メーカーが中心に策定した品質管理規格に沿うようにしてある。自動車用半導体業界ではこの規格が非常に有名だが,最近は,AEC-Q100という品質保証検査の規格も注目を集めるようになっている。