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 GaN結晶の非極性面を利用する技術は,青色発光ダイオード(LED)や青紫色半導体レーザの効率を高め,消費電力低減の切り札として研究開発が盛んになってきた。GaN結晶の非極性面を使った青紫色半導体レーザで,ひと足早く連続発振に成功したロームは,非極性面に関する研究開発体制を強化していることを明らかにした。

 ローム 研究開発本部 取締役本部長の高須秀視氏によれば,非極性面を利用する研究開発は,(1)LED,(2)半導体レーザ,(3)電界効果トランジスタ,の3グループに分けて進めているという。それぞれの研究グループで,顕著な成果が上がっている。例えば,(1)については,偏光を直接出力できる青色LEDを開発し,2006年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2007」に出展した(Tech-On!関連記事1)。(2)では,業界で初めて連続発振にこぎつけている(Tech-On!関連記事2日経エレクトロニクス関連記事)。(3)では,ノーマリー・オフ動作するトランジスタの開発に成功した。高須氏によれば,非極性面を利用するとさまざまな興味深い現象が起こる。これらのグループには「新しいアイデアが生まれやすいように,主に若手研究者を配置している」(高須氏)という。今後,さらに多くの研究員を配置することも考えているとする。

ノーマリー・オフ動作するGaN MOSFET

 (3)のノーマリー・オフ動作するトランジスタは,ゲート絶縁膜に酸化膜を用いたMOSFET構造を採る。ノーマリー・オフ動作は,電源回路やモータ駆動回路に向けた用途では必須になる。これらの回路は電源に直結することが多く,回路の動作を止めたときに回路を電気的に開放状態にさせないためにもノーマリー・オフが必要だからだ。現在,通信機器向けとして実用化しているGaN結晶を使うトランジスタはHEMT構造を採用しており,ノーマリー・オン動作である。HEMT構造を使ってノーマリー・オフ動作させるために数多くのメーカーや研究機関が開発に取り組んでいるが,ロームのようにMOSFET構造による取り組みはめずらしい。

 ロームによれば,非極性面(GaN結晶のm面)を使うことでキャリヤ移動度が高められ,スイッチング速度を改善する効果もあるという。さらに,SiCを使ったパワー・デバイスと同等水準の高い動作温度を備えているとの結果も得たとする。一般に,SiCの熱伝導性はGaNよりも2~3倍高く,SiCを使ったデバイスはGaNを使うよりも高い動作温度に対応できるとされてきた。