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 LSIメーカーが持つ歩留まりにかかわるチップ設計情報を,露光用マスク・メーカーがマスク製造のコスト低減や納期短縮に活用する。こうした体制作りに,マスク業界大手の大日本印刷が乗り出した。同社は,マスク欠陥の歩留まりに対する深刻度の情報をLSIメーカーから得て,マスク製造における検査コストの低減や良品救済などに活用していく。「65nm以降の先端世代を主なターゲットとする」(大日本印刷)というこのシステムを,同社は2008年度から稼働させる。

2008年度からLSIメーカーにシステムを提供

 大日本印刷は,レイアウト最適化ツールなどを手掛ける米Takumi Technology Corp.(同社ウェブサイト)と共同で,このシステムの構築に乗り出す。既に「大手LSIメーカー1社の協力を取り付けている」(大日本印刷)という。

 大日本印刷とTakumi Technologyは,2008年3月までにシステム構築を完了させ,その時点で参画LSIメーカーが採用を決めれば本格運用を始める。その後,そのほかのLSIメーカーにも無償でこのシステムを提供していく。

設計情報に基づく欠陥の“ランク付け”を活用

 大日本印刷などが構築を目指すシステムでは,LSIメーカーがあらかじめ露光用マスクの部位ごとに欠陥の“ランク付け”を行う。そこでは,チップの歩留まりに影響するクリティカルな部位の欠陥が,それ以外の部位の欠陥よりも重み付けされることになる。それと並行して,マスク・メーカーは,実際に作製したマスクの欠陥データをLSIメーカーに提供する。LSIメーカーは,重み付けした欠陥データとマスク欠陥の実測データを,Takumi Technologyが保有するマスク自動検査ソフトウェア上で対照させる。

 これによって,マスクのどの部位の欠陥が歩留まりに影響し,修正が必要かを明らかにして,その結果をマスク・メーカーに伝える。マスク・メーカーは,この情報を活用することによって効率的にマスクの修正を行うことができる。さらに,これまでマスク・メーカーの独自の検査基準に基づいて,歩留まりに影響しない欠陥を理由に不良品と判定していた良品を救済できる。いずれも,マスク製造の低コスト化や短納期化に直結する。

 65nm以降といった世代では,マスクのパターン精度への要求が高まるために,欠陥検査に要するコストと時間が増大し,マスク価格の高騰や納期の長期化を招きやすい。今回,大日本印刷などが実現を目指すシステムは,LSIメーカーが持つ歩留まりにかかわる設計情報を“欠陥のランク付け”という形で積極的に活用することで,そうした課題の克服を目指すものといえる。