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 リコーは2007年3月2日,経営戦略発表会を開催し,同社代表取締役 社長執行役員の桜井正光氏が残り約1年となる第15次中期経営計画(2005年4月~2008年3月)の展望を語った。既存事業で利益を確保しつつ,そこで得たキャッシュを商用印刷などの新規事業領域に注ぎ込んでいくという。

 同社が最も有望視している新規事業領域は,現行の商用印刷市場の一部と,企業内印刷市場の一部で構成されるプロダクション・プリンティング(PP)市場。ダイレクトメールやカタログの需要の一部がオフセットからPPに流入してくる上,システムのオープン化・ダウンサイジング化の進展やデジタルコンテンツの流通拡大に伴い,欲しいコンテンツを欲しい時に欲しい量だけ出力するプリント・オン・デマンドが普及することで,PP市場規模の拡大が見込めるという。同社では,PP市場の規模が現在は約1兆円であるのに対し,2010年には3兆円を超えると見る。

 第15次中経の最終決算年度である2007年度(2007年4月~2008年3月)の業績(連結)に関して,中経では売上高2兆3000億円,営業利益2350億円を目標に掲げていた。だが,営業利益に関しては達成が困難な状況だという。2007年度の業績見通しは,2006年度の業績と同時に明らかにする。2006年度の業績(連結)は,売上高2兆670億円(前年度同期比8.3%増),営業利益1720億円(同15.8%)を見込んでいる。

 以下は質疑応答での主なやり取り。回答者は桜井氏。

――第15次中経の期間に発生した変化を教えて欲しい。

桜井氏:ポジティブなものとしては,まず,構造改革の成果が計画通りに現れてきているが,そのインパクトが予想以上に大きかった。例えば開発センターを設置したことにより,基礎研究,商品設計,評価,資材・購買,生産技術といった部門が一度に集まり,商品開発効率が高まった。もう一つは,円安がこれほどまで長く続いたことだ。一方,ネガティブなものとしては競争の激化。激化自体は覚悟していたが,価格下落は予想以上の速度で進んだ。

――第14次中経(の期末)から第15次中経(の期末)までに営業利益を1000億円積み増すことになる(2004年度の連結営業利益は1355億円,2007年度の見通しは2350億円)。第16次中経(2007年4月~2010年3月)でも同程度の積み増しを期待してよいか。

桜井氏:そう考えるのは気が早い。まだまだ収益基盤にテコ入れしなければならない部分はある。

――グローバル・キャピタル(資本)は,企業の非効率を突いてくる傾向にあり,日本も例外ではない。リコーにこうしたリスクはあるか。

桜井氏:経営者は誰もが,自身の経営する会社にスキがないとは思っていないはずだ。リコーの内部にムダかあるかないかという質問なのであれば,それはあると答えるしかない。問題は,外部の人間でなければ見つけられないムダか,内部の人間でも見つけられるムダかということ。外部の視点は非常に重要だと私は思っている。そういう意味で,現行の社外取締役がその役割を果たしており,それで十分と考えている。

――エマージング・マーケット(主に海外の成長市場)の成長ピッチが予測よりも遅いのではないか?

桜井氏:(エマージング・マーケットの中では)中国市場を最も優先してきたが,台数は順調に伸びているものの,その内訳はほとんどがローエンドの機種。これでは売り上げや利益にはそれほど貢献しない。政府関連の団体や日系を含む外資企業による(ハイエンド機種の)需要に期待していたが,思うほど伸びなかった。インドはこれから期待できる市場であり,第16次中経の課題になる。