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 測定精度0.5nm以下,処理速度30ウエハー/時(300mmウエハー1枚当たり5カ所測定)を両立した,半導体インライン計測用原子間力顕微鏡(AFM)「WA3300」を,日立建機ファインテックが発売した(発表資料)。同社従来機に比べ,測定精度は約2倍,処理速度は約4倍に向上する。200mmおよび300mmウエハー用で,加工線幅45nm以下のプロセスに向ける。ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors:国際半導体技術ロードマップ)がこの世代に要求する測定再現性3σ(0.5nm)を達成したとしている。

 一般に,空間分解能に優れるAFMは,微細化の進むLSIの立体形状を測定する手段として注目されている。CMP(chemical mechanical polishing:化学的機械的研磨)後のウエハー表面平坦性評価,原子レベルのウエハー表面粗さ測定,マイクロレンズの立体形状測定などで使われることが多い。

 今回のWA3300を開発するに当たって同社は,従来から使ってきたステップイン走査技術を踏襲した。ステップイン走査技術では,測定位置で探針を垂直に下ろして測定対象物に触れ,一定の接触力を感知した時点で止めて引き上げ,水平に移動して,再び針を下ろす動作を繰り返すことで立体形状を測定する。探針を引き上げて移動するので,針の磨耗が少なく,原理的に再現性の高い測定が可能になる。WA3300では,この技術をさらに改良した「Advanced StepIn mode」走査技術を採用した。探針が上下する距離を短くし,より小さな接触力の感知で針を止めるようにしている。

 また,独自の信号処理法を応用することで,同社従来機に比べて1/20以下の接触力を感知できるようにした。溝の側壁で探針が滑ることにより生じていた1nm以下の検知誤差も低減できたとする。加えて,剛性の高い探針微動機構を開発したことにより,0.5nmの精度を出すことができたとしている。

 露光工程における焼付け領域の拡大に対応するため,走査範囲は従来の25mm角から40mm角に拡げた。

 45nm単位の立体加工を測定するには,直径20nm程度の探針が必要となる。日立建機と日立製作所,日立協和の3社は,カーボン・ナノチューブ(CNT)を利用し,これを今回の装置で採用している。CNTは太さが一定で変わらず,耐磨耗性に優れる。長期間にわたる高い再現性が期待でき,交換頻度の減少から装置の稼働率向上にも役立つ。接触回数が少ないステップインあるいはAdvanced StepIn modeで用いれば,1000画面以上の長寿命化が可能と試算している。