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インペラ(羽根車)を回し,遠心力で
液体を送り出す「遠心ポンプ」,あるいは「渦巻きポンプ」。
イラストのインペラには軸がない。上に見えるのは吸入ポート。
中央に穴の開いたインペラが,どこにも触れることなく回る。
秘密は下側,モータのようなコイルにある。
確かにモータなのだが,もう一つ役目がある。
コイルの磁力でインペラを浮上させ,空中の1点に固定する役目だ。

江上智紀・柿原功一   イワキ技術センター レビトロニクスプロジェクト

 遠心ポンプのインペラを支える軸,この軸はインペラが回転すればパッキンや軸受と擦れ合うことになり,さまざまな問題を発生する。まず摺動部からゴミが発生する,次に摺動部材が消耗する,最後に摺動によって熱が発生する。

 半導体や食品,医療業界では移送液に混入するわずかなゴミも嫌われる。また,擦れ合う部材が消耗すると,ポンプ寿命を大きく損なう。擦れ合うことで摩擦熱が発生し,ポンプの構成部材に悪影響を与える場合がある。移送液が熱に弱ければ致命的だ。

軸は簡単にはなくせない

 と言っても軸をなくすのは簡単ではない。どこかを支持しないとインペラはポンプ室内で大暴れすることになる。また回転させるためにはどこかから回転力を伝える必要がある。

 回転力の方は非接触にする動きが進んできた。電磁誘導あるいは永久磁石の磁力を利用して,ケーシング内部に軸受で支持したロータ付きインペラを回転させるタイプは「キャンドポンプ」あるいは「マグネットドライブ式ポンプ」などと呼ばれ,広く使われるようになった。

 これならパッキンは要らない。軸は液のある空間から外へ出ないからだ。それでも軸受は残る。残る問題はインペラの支持ということになる。

磁石で浮かせ,磁石で回す

 イワキは海外メーカーと協力し,ロータ付きインペラを磁気で浮上させる「レビトロポンプ」を世に送り出すことに成功した。レビトロポンプは「Levitate(空中に浮かばせる)」「Electronics」「ポンプ」を組み合わせた造語だ。ケーシングの外側にある電磁石のコイルに流れる電流を変化させることで,永久磁石を内蔵したインペラの回転数や位置を制御する。レビトロポンプは,ロータ付きインペラを内蔵した接液部であるポンプヘッド部,電磁石やセンサが組み込まれたアクチュエータ部,センサ信号を受信しコイルに流れる電流を制御するドライバ部によって構成される。

 動作について大まかに説明しよう。ケーシングの内側には永久磁石を内蔵したインペラを格納してある。これがロータになる。それを,鉄心にコイルを巻いたステータが8方向から取り囲む(図)。スイッチを入れていないとき,ロータは磁力で鉄心に引き付けられ,横の壁に貼り付いている。(以下、「日経メカニカル5月号」に掲載)

インペラが磁気浮上するポンプの動作(<A href="572l.mov">クイックタイム ムービー版はこちら (740K)</A>)
インペラが磁気浮上するポンプの動作(<A href="572l.mov">クイックタイム ムービー版はこちら (740K)</A>)
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【図】レビトロポンプの構造。
【図】レビトロポンプの構造。
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