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大径のベアリングに代表されるリング状の部品。
テレビカメラのレンズを支えるカムのようなパイプ状の部品。
小型化,軽量化の要求からはできるだけ薄くしたい。
ところが,薄くなるほど加工が難しい。
外周をチャックしようとしても,締めこんだらつぶれてしまう。
センタレス研削という手はあるが,コストがかかって仕方がない。
優しくつかみながら,もっと確かな真円度を―こんな方法はないだろうか。

 基本的にはもともと旋盤に付いている三つ爪のチャックを使いたい。三つ爪のチャックは120°間隔で爪が三方から取り囲むから,そのまま使えば「三角おむすび」状に変形してしまう。そこで,三つ爪を生かし,「六つ爪」として使うのが従来のやり方。それぞれの爪がシーソーのように首を振るため,「首振り小爪」と呼ぶ(図1)。これで都合6点を60°の間隔で支持できる。厳密には「六角おむすび」状になるのだが,この間隔で支持すれば実用上は真円に近い。

6点が同時には接触しない

 ただし,実際には理屈通りにいかない。6カ所の爪がワークに同時に接触すればよいのだが,そうならないことが問題だ。先に接触した方が摩擦力を発揮し,ワークの姿勢,また形状を変えてしまう。

 普通なら下の4点が先に接触し,上の2点が後になる(図2)。すると,上の2点とワークとの間にすき間のできる瞬間がある。この間に??,??の爪がワークを左右から押しつぶす。摩擦力がなければその反力でワークが上に逃げ,??に当たって6点が平等に接するのだが,摩擦力があるため下の4点がワークを歪ませてから初めて??が接する。

 6点接触の場合,下側の爪が先に当たると,この段階で小爪?と?は円周の中心線を超えた位置をつかんでいる。これがワークが上に逃げる道をふさいでしまうことになる。

 鋳鉄の荒れた鋳肌のままのワークは摩擦力が大きい。このため??が接する前にクランプが終わってしまうことがある。見た目は6点接触でも実は4点しか機能していないという事態になる。当然,まともな加工はできない。(以下、「日経メカニカル8月号」に掲載)

薄物用チャックの動作(<A href="575l.mov">クイックタイム ムービー版はこちら (656K)</A>)
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【図1】一般のやり方である「首振り小爪」 爪一つ当たり2カ所でワークと接触し,シーソーのように首を振る。
【図1】一般のやり方である「首振り小爪」 爪一つ当たり2カ所でワークと接触し,シーソーのように首を振る。
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【図2】首振り子爪で60°間隔にする 下が先に接触してから上が接触し,上にすき間ができる。この間に?と?が互いに押し合ってワークを変形させる。
【図2】首振り子爪で60°間隔にする 下が先に接触してから上が接触し,上にすき間ができる。この間に?と?が互いに押し合ってワークを変形させる。
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