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HPロシアのトップのOwen Kemp氏
HPロシアのトップのOwen Kemp氏
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 「ロシアのIT市場が急激に伸びている。小売市場規模で見れば,インド市場の次になる。ただ,今からロシア市場に飛び込もうと思っても,もう3年遅い」――。米Hewlett-Packard Co.の事業部門であるロシアHP Russia社,Managing Director兼Vice PresidentのOwen Kemp氏は報道向けのイベントで,現在のロシア市場の状態をこう説明する。ロシアは,2007年中に世界貿易機関(WTO)に正式に加盟するため,国際企業の間でロシア市場に対する興味が高まっている。HP社がロシアにオフィスを開いたのは1968年。これまで培ったロシア市場での長い経験から,Kemp氏はロシア市場の中で同社は優位な立場にあると主張する。「ロシアと米国の関係が激しく浮き沈みする中で,HP社はロシアと長い間関係を持ち続けてきたことを,ロシア人は忘れないだろう」(Kemp氏)。

 ロシアのWTO加盟によって生じるビジネス環境の変化について,Kemp氏はまずロシアでの規制が緩和されると見込む。例えば現在,ロシア市場では64ビット以上の暗号キーを用いた暗号化アルゴリズムを採用する製品は,ロシアの諜報機関から許可をもらわなければロシアで販売することができないが,この規制がなくなると予測している。

このほか,著作権法の違反に対する法的罰則が現状より厳しくなる可能性があるという。 これを受けて,HP社はパソコン事業の展開が可能とみる。ロシアのパソコン市場では,違法にコピーされたOSを含む無ブランドのパソコンが多く流通しているという。「規則を今より厳しく実施するのであれば,ロシアのパソコン市場での我々のシェアは高まるはず」(Kemp氏)。ただし,Kemp氏は楽観視していない。中国のWTO加盟によって起きたことを勘案しているためである。「デジタル・メディアなどの知的財産関連について,中国はWTOに加盟しても我々の期待に応えなかった。ロシアがWTOに加盟しても,この分野では厳しい交渉が待っていると思う」(同氏)。

 HP社は2006年に開設したカザン市を含め,ロシアの7カ所にオフィスを現在構えている。2007年中にロシアの地方にも新しいオフィスを設置し,現在800人いる社員を増やす予定。さらに,同社は2007年1月にサンクトペテルブルク市に研究所も開設した。「ロシアはインドなどとは異なり,一般のソフトウエア開発などのアウトソーシングには向いていない。だが,数学のスキルが要求されるアルゴリズム開発のような研究開発であれば,ロシアは向いていると思う」(Kemp氏)。