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 米University of IllinoisのProfessorであるGeorge H.Miley氏は,2007年3月7日から米国マイアミで開催されている「Small Fuel Cells 2007」において,ボロハイドライドの1種であるNaBH4と過酸化水素水(H2O2)を燃料に利用する燃料電池について講演した(講演名:Water Management and MEA Issues Affecting Durability of Direct Borohydride Fuel Cells)。

 同研究の特徴は,カソード側に空気(酸素)を供給するのではなく,H2O2を供給すること。空気を利用しないことから,燃料電池システムを完全に密封できる利点がある。現在,米国防総省(DOD)が空軍の通信衛星用電源としての利用を計画しているという。

 カソード側での反応は,
4H2O2 + 8H + 8e → 8 H2O
となり,全反応は,
NaBH4 + 2H2O + 4H2O2 → NaBO2 + 8 H2O
となる。

 同燃料電池は作動温度を上げると,効率が非常に上がることから,温度管理システム(Temperature control system)を搭載して60℃で駆動することを想定している。

電着で680mW/cm2を達成


 性能については,触媒にAu(金)を使って,通常の触媒と同様に電解質膜(Nafion膜もしくはフッ素系膜)に接着させた場合で190mW/cm2の最大出力を示した。

 さらに,Au触媒を電解質膜に電着(Electrodeposition)した場合と,スパッタリングした場合の結果についても報告した。電着した場合は,常温(26℃)で270mW/cm2,60℃で680mW/cm2の最大出力を達成したとしている。一方,スパッタリングした場合は,26℃で220mW/cm2,60℃で580mW/cm2の最大出力を示したという。

 電着した場合に性能が高いのは「触媒がマイクロファイバ状に付着することで,反応面積が大きくなったため」(Miley氏)。スパッタリングした場合は,電着した場合に比べて性能は落ちるが,触媒が10nm以下で規則的に分布し,その構造が安定しているとする。さらに,利用する触媒の量を0.1mg/cm2以下にできる利点があるという。