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石川県が,ものづくり支援のために新しい方針を打ち出した。ニッチでいいから,その分野でトップを目指す。そうした姿勢を見せる企業には,自治体が支援する。知的財産に関しても,しっかり指導する。目標とする前例は「すしコンベヤでトップシェアを取った会社」。こんな事例を次々と登場させることが狙いだ。

 「官」の話にお付き合いいただこう。実はちょっと事情があって,石川県に通い詰めている。

ニッチトップを集中育成

 石川県庁が「ニッチトップ企業等育成事業」というものを始めた。「ニッチの中でのトップ」を目指す企業を認定して,集中的に育成しようというんだ。それで協力を求められている。お役所は大切に考えているから,呼ばれたらホイホイ行っちゃう。

 石川県には危機感がある。東北もそうだけど,ここも良い所なんだよ。住むにはね。民間の空港が小松,能登2カ所。ほら,これだけで東京に勝ったでしょ。人口100万人当たりの高等教育機関の数は16.1と全国2位。道路の整備率は全国3位,博物館,美術館は5位だ。

 ただし,それが生産に表れていないことも確かだ。1992年には35.9%あった移出率が2001年には30.6%まで落ちて全国32位。福井県は34.6%,富山県は33.7%だ。東京や大阪と争う気はないだろうけど,両隣に負けちゃ悔しいよね。

 それが一つの動機になった。「ニッチトップ企業」を目指して成長するモデル企業を輩出することによって,石川県全体の競争力を上げようというわけだ。

前例はそこそこある

 既に県内には国内シェアトップの企業が49社ある。オリエンタルチエンが「超小型チェーン」で100%のシェアを持つ。西野繊維が「金華山織り」で100%,ビルドスが「耐火性三次元ハニカム材」でやはり100%。皆さんが聞いたことのありそうな名前では小松製作所が「ブルドーザー」で60%,澁谷工業が「びん詰め機械」で60%,中村留精密工業が「自動レンズ芯とり機」で30~40%。結構あるでしょう。49社ってのは割と多いんだよ。東京だって84社らしい。もちろん規模は全然違うけどね。

 これを増やそうというのが「ニッチトップ企業等育成事業」だ。とにかく小さな分野でいいからトップになる。シェアが一番分かりやすいんだけど,技術の先端性とか,抽象的なものを含めてトップになる。

 そのために,高い技術力や独自の技術力を持ち,飛躍的成長を見込める企業を認定し,3年間集中的に支援しようというんだ。発掘や公募で候補企業を募り,専門家から成る事業評価委員会が評価,助言して,県が企業を認定する(図1)。県の内外から専門家を呼んできてアドバイスをしてもらう。また,専門の人材を長期間派遣してもらって支援する。

 お金の面でも支援する。認定企業に対しては融資限度額を拡大する。普通なら2億円のところ,4 億円まで拡大する。このうち運転資金は5000万円のところを1億円に拡大する。有望なベンチャー企業に投資し,株式上場まで視野に入れて指導する投資会社を紹介するなど,認定企業の成長に向けたオーダーメイドの支援を行う。