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 オーストリアAlvatec社は,2007年3月7~9日に開催された「Small Fuel Cells 2007」において,アルカリ金属間化合物の1種であるLi3Al2と水を反応させて取り出した水素を燃料とする燃料電池について講演した(講演名:Elegant Hydrogen Generation Based on Reactive Metal Alloys)。

 同社はアルカリ金属などの製造を手掛ける材料メーカー。これまでにもアルカリ金属と水を使って水素を生成する取り組みはあったが,従来のアルカリ金属は急激に反応するため,化学反応を制御して水素の発生量を一定にすることが難しかった。これに対して,最近ではアルカリ金属間化合物を利用することで,水素発生量を制御できるようになったとしている。

 同社では,複数あるアルカリ金属間化合物の中からLi3Al2の利用を目指している。同化合物を選択した理由は,触媒が不要で,水と反応させるだけで大量の水素を発生させることができるため。1gの化合物から1.4Lの水素を生成できるとしている。理論値ではLi3Al2と水1kg当たり426L(大気圧,0℃の場合)の水素を取り出せるとしている。これはエネルギー密度に換算すると体積当たりで813Wh/L,重さ当たりで626Wh/kgになるという。

 実は,最近研究開発が盛んなNaBH4と水を反応させると,理論値では1kg当たり1216L(大気圧,0℃の場合)を生成できる。だが,同社ではNaBH4の場合,水を入れると一度に反応が進んでしまうため,安定的に水素生成するにはLi3Al2の方が優れているとしている。

 実際にAlvatec社製のLi3Al2を50mg使って,水と反応させた場合,粉末の状態で350mL/分,粗い破片の状態で110mL/分の水素発生量があったとしている。Alvatec社では現在,ドイツの研究機関であるFraunhofer IZMと燃料電池の開発を進めているという。Fraunhofer IZMでは,定格出力が50mWと180mW,2W,8Wと4種類の発電セルを開発中で,50mW品には平均0.6mL/分,180mW品には同2mL/分,2W品には同16mL/分,8W品には同100mL/分の水素が必要になるという。