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 三菱電機は,2.5Gビット/秒の光通信用に,最小受信感度-37dBmと低雑音を達成したアバランシェ・フォトダイオード(APD:光信号を電流信号に変換し増幅する素子)を開発した(発表資料)。低雑音のAPDで実績があるとするAlINAs(アルミニウム・インジウム・ヒ素)を増幅機能部(増倍層)に用い,独自のプレーナ(平坦)型構造を採用することで実現したとしている。

 増倍層には従来,InPを用いることが多かったが,これをAlInAsとすることで,素子雑音を従来比40%低減したという。これにより,より効率の良い増幅が可能になるとした。
 また,InP(インジウム・リン)基板上にInP,InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素),AlInAsの各層が平板状に積み重なったプレーナ型構造により,受信感度の劣化を招くリーク電流を抑えている。電流を流す役目を担うp型不純物を,選択的に熱拡散することで受光領域にのみ導入した独自の構造を採った。受光領域周辺の電界分布を制御して高寿命化,リーク電流の抑制を図ったと説明する。新開発の素子をAPD-TIA(trans-impedance amplifier:電流信号を電圧信号に変換し増幅する素子)CANパッケージに実装した状態で従来品と比べたところ,受信感度は2dB改善し,-37dBmを実現した。

 主な仕様は,降伏電圧30~40V(電流100μA時),暗電流50nA(降伏電圧の90%を印加),感度1.0A/W(波長1.55μm),帯域4.2GHz(増倍率10),過剰雑音係数3(増倍率10),容量0.26pF(増倍率10)などとなっている。

 同素子の製作は,兵庫県伊丹市の同社高周波デバイス製作所が担当した。今回の成果を基に,2007年12月を目処として量産開始を目指す。なお,同社はこの成果の詳細を,2007年3月25日~29日に米国カリフォルニア州アナハイムで開催される「The Optical Fiber Communication Conference & Exposition and the National Fiber Optic Engineers Conference(OFC/NFOEC)2007」において,発表する予定。

三菱電機が開発した最小受信感度−37dBmのAPDの素子構造(出所:三菱電機)
三菱電機が開発した最小受信感度−37dBmのAPDの素子構造(出所:三菱電機)
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