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シズベルジャパンの代表取締役の二又俊文氏(左)とイタリアSisvel S.p.AのConsulente di AmministrazioneのRoberto Dini氏(右)
シズベルジャパンの代表取締役の二又俊文氏(左)とイタリアSisvel S.p.AのConsulente di AmministrazioneのRoberto Dini氏(右)
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 家電製品に関する技術の知的財産権の保護や管理などを手掛けるイタリア Sisvel S.p.Aは,日本法人 シズベルジャパンを設立し,日本でのライセンス事業などを本格的に開始すると発表した。同社が特に力を入れているのが,パテント・プールである。

 パテント・プールについて,Sisvel社は以下のような流れを想定している。ある標準規格に対して同社が関連特許を調べるとともに,関連特許の所有者を募る。申し出のあった特許が必須特許か否かを調査した後,必須特許をまとめてパッケージとする。その後,希望する製造メーカーなどと交渉して契約を結び,ライセンス料の徴収と所有者への配分を行う。同社はInternational CESといった大きな展示会に担当者を派遣するなどして,未契約のメーカーの特許使用を見つけた場合は警告や税関への輸入差し止めの申立てなどの手続きを行う。

 Sisvel社の創設者でConsulente di AmministrazioneのRoberto Dini氏は,「従来,日本では特許について個々のメーカー同士がそれぞれクロスライセンスを結ぶ場合が多かったが,今後はパテント・プールの考え方が主流になる」と強調する。主な理由は二つある。一つは,1個の製品に使われている特許数が膨大に増えていること。第3世代携帯電話機やデジタル・テレビなど,1000件以上の特許が関係している製品も珍しくない。特許権を所有するメーカーが複数社,複数カ国にまたがることも多く,個別に契約を結ぶのは難しい。規格に関するような特許の場合,規格に対する特許権の所有を宣言しない,いわゆるサブマリン特許が潜んでいる場合もあるという。その結果,「日本メーカーが,自社製品が他社の特許に抵触しているのではないかと不安に感じている場合も少なくない」(シズベルジャパン 代表取締役の二又俊文氏)とする。

 もう一つの理由が,研究開発と製造の分離が進んでいることである。こうした場合に課題となるのが(1)自社が特許権を所有していても,相手となる中国やインドなどの新興国の製造専業メーカーや後発メーカーは製品技術の特許を持っていないため,そもそもクロスライセンスを結べない, (2)研究開発が事業の中心のメーカーは,次の開発資金を得るために知的財産権による収入を得る必要がある,といった点である。特に研究開発に特化したメーカーは他社に生産を委託するので,ライセンス契約を結び,収入を得ることが必須となる。欧米に比べて日本は国内や自社内での生産が多かったため,こうした点が問題視されることが比較的少なかった。

 これらの二つの理由から「クロスライセンスだけではやっていけない,と日本メーカーが気付き始めた」(Sisvel社 Dini氏)として,同社は日本での特許権管理業務の需要拡大を見込んでいる。