米Duet Technologies, Inc.は,ASICやシステムLSIのユーザ向けに回路ライブラリをロイヤリティなしで販売すると,発表した(リリース文)。スタンダード・セル(チップの内部回路用のSSIやMSIクラスのマクロセル)と外部入出力回路,メモリ用モジュール・ジェネレータを売る。ここで,ロイヤリティとは,当該ライブラリを含むチップの生産量に応じて,ライブラリ供給者に支払う料金である。一般に回路ライブラリやIPコアの使用料は,購入時に支払うライセンス料(無料の場合もある)とロイヤリティからなる。
「他のIP/回路ライブラリ・ベンダは,半導体メーカやシリコン・ファウンダリの顧客に無料で回路ライブラリを提供している。しかし,中規模生産量で数 10万米ドル/年のロイヤリティが発生する。最終的には,このロイヤリティがチップ価格に跳ね返る。しかも,ロイヤリティ収入をIPベンダが受け取るには,納入時からかなりの時間が経ったあとになるため,IPベンダの経営不安定化の原因になっている」(Duet社社長のPrabhu Goel 氏)。
Duet社はこれまで半導体メーカを顧客に,そのメーカの製造プロセスに合わせ込んだライブラリを販売したり,製造プロセス更新時にライブラリを移植することなどを手がけてきた。顧客をチップ・ユーザに広げることで,売上げ増をねらう。一つの製造プロセス向けのスタンダード・セルまたは外部入出力回路,メモリ用モジュール・ジェネレータはそれぞれ2万5000米ドル(1回用ライセンス)。ただし,同じ製造プロセス用の製品を追加購入した場合は5000米ドル。チップ・ユーザを顧客にしたことで大きな販売量が見込めることや,インターネット経由で販売し流通コストを圧縮したことで,ロイヤリティなしでも低ライセンス価格が実現できるという。
現在,Duet社がロイヤリティなしの回路ライブラリを供給できる製造プロセスは,シンガポールChartered Semiconductor Manufacturing社と米IBM Corp.,台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.),台湾UMCグループの0.25μmおよび0.35μm。そしてTSMCの0.5μm。1999年第1四半期中には0.18μmのライブライリも用意されるという。インターネット経由の販売は1999年4月に開始する予定。