米Cadence Design Systems, Inc. の1998年の年間売上高は対前年比22%増の12億1610万米ドルと好調だった(関連記事)。社長に就任して1年半弱の成果としては,Jack Harding氏にとって満足のいくものだったに違いない。定例になっている顧客訪問のために来日したHarding氏に,米Quickturn Design Systems, Inc.買収,米Avant! Corp.を相手にした訴訟,そして今後の戦略を聞いた。(インタービューは日経エレクトロニクスと日経マイクロデバイスが共同で行なった。本記事の執筆は小島郁太郎)
問:Mentor社が株式公開買い付け(TOB)を行なわなかったとすれば,Quickturn社を買収しなかったか。
Harding氏: Mentor社がTOBを行なったおかげで,Quickturn社のことをよく調べてみようということになった(関連記事)。すると2年前に比べて,すっかり良い企業になったことがわかった。買収に値するという結論を出した。Quickturn社に目を向けるきっかけをくれたRhines氏(Mentor社社長)には感謝したい(関連記事)。
問:Mentor社は,Quickturn社がCadence社に買収されたあとで,Cadence社と論理エミュレータに関してクロス・ライセンス契約を結びたがっている。その可能性はるか。
Harding氏:買収の合意はできているとはいえ,法律的にはCadence社とQuickturn社は現時点では別の企業だ。他社のもつ特許に関してのコメントは,今は控えたい(関連記事)。
問:次に,Avant!社との裁判について聞きたい。Avant!社は,Cadence社との和解に期待しているようだが,その可能性はあるのか(関連記事)。
Harding氏:まったくない。そもそもAvant!社との裁判は,特許紛争というレベルのものではない。特許紛争ならば,それはビジネス戦略の一つともいえる。しかし,当社がAvant!社を訴えたのは,Avant!社が当社の製品のコードを盗み,それを自社のツールに組み込んで売っているからだ。こんなことは許されるものではない。当社は,そのおかげで12億米ドルの損害を被っている。裁判所は,「和解に関して両社の間で話合いをもて」と言っているだけで,和解を勧めているわけではない。2月15日に予定されている話合いで,当社は和解の意思がないことを,相手に伝えるまでだ。
問:Avant!社の前世代製品(自動レイアウト・ツール)「Aquarius」には裁判所から販売停止がでている(関連記事)。現製品の「Apollo」も同じようになると思うか。